知っておきたい地球科学/鎌田浩毅

 

 

 「地球科学」というと難しく聞こえますが、高校の理科の科目で言う「地学」に当たる範囲での標準的なトピックを扱った内容の本です。

 

 ワタクシは高校時代に理科で地学を選択していて、割とハマって好きな分野だったりもして、そこそこ成績もあったので、当時地方の国公立大学の2次試験の受験科目が地学だけの大学があったので、ちょっとそこに行ってみようかな!?と思ったぐらいなのですが、当時でも地学を選択する人数は少なく、今となってはウチのムスメたちに聞いても、長女の学校も次女の学校でも地学は開講されていなかったということを聞いて斉菱い限りです。

 

 とはいえ、当然自分たちが住んでいる地球に関する科学なので、かなり我々の社会と密接に関連しているということもあって、このまま地学を学ぶ人材が先細りしていくことに、かなりの危機感を感じます。

 

 この本では、そういう地学の我々の生活に身近なトピックを中心に、地球が生まれてから人が住めるようになって、今後どうなっているのかということも含めて、地球と我々のかかわりを語られています。

 

 今のところ地球以外に生命体が確実に確認されているところはないワケですが、地球もかなり際どい条件の下で生命が住めるようになっているということで、例えば月がなければ地球の自転がもっと早くて風が強すぎてなかなか生命体の維持は難しかったとか、地軸が傾いていなければこれほどの多様性はなかったとか、地球より近くても遠くても水の維持ができなかったということで、かなり奇跡的な確率の下で我々の存在があるということにカンドーします。

 

 また、レアメタルシェールガスなどの様々な資源の分布が世界に及ぼす影響や、以前紹介した斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』でも触れられていたように、人類の繁栄が地球に及ぼす影響といった現代的なテーマや、日本の行動経済成長期が偶然地震活動の狭間に当たったが故のラッキーなど、かなり我々の生活に密接した知識を提供してくれることに驚きます。

 

 確かに、大学を受験する上で難しいところはあるのかもしれませんが、それなりに強要として押さえておかなくてはいけないのでは!?と思わされるところが多く、しかも割とハナシとして面白いものが多いので、最低限の教育は求められると思うのですが…