最後の講義/西原理恵子

 

 

 これまでもこのブログで出口治明さん上野千鶴子さんの回の書籍版を紹介したNHKの『最後の講義』ですが、今回は偶然番組を見て痛く感銘を受けた西原理恵子さんの回の書籍版を紹介します。

 

 西原さんはこれまで出版された『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』など著書でも、女性が自分で自活できるだけの財力を備えておくべきことを再三おっしゃられていますが、この回もそういう趣旨でのお話が中心になっていて、ご自身の壮絶な体験を通して、抱腹絶倒のトークで語られます。

 

 その抱腹絶倒のトークというのが、アル中のダンナにディスられ続けて、今なおその頃のことを思い出すと震えが止まらないという全然シャレにならないモノや、ヒモみたいな男に自分が借りた部屋に居座られ続けたハナシなど、全然笑えるモノではないところを笑い飛ばしてしまうところが西原さんが西原さんたる所以なんでしょうけど、それだけ追い詰められながらも持ちこたえられたのは経済力の裏付けがあったからだとおっしゃいます。

 

 同時に、そういうシャレにならない状況に追い込まれたら、迷わず「逃げる」ことを強調されていて、情が移って捨てられないとか、そういう感情を抱くのも、ご自身の経験上理解できるとはされながらも、冷却期間をおいてでも「逃げる」という選択肢をアタマのどこかに置いておいてほしいと思われているようです。

 

 今でもこんな目に合う女性がどれくらいいるのかわかりませんが、未だにそういう弱い立場というものがいるということは忘れてはいけませんし、そういう境遇にある人にキレイごとを押し付けようとすることは厳に慎みたいものです。