射精道/今井伸

 

 

 泌尿器科医の方が、男性器を「正しく」扱うための方法論を「武士道」になぞらえて「射精道」として紹介された本です。

 

 なぜ、男性器の扱いを武士道になぞらえようと思われたのかというと、男性器はその使い方によって、刀同様、相手を肉体的、精神的に深く傷つけてしまう可能性があり、それだけに「義・勇・仁・礼」を以て取り扱う必要があるということで、「射精道」とは「陰茎を持って生まれ、性生活に陰茎を使う者に伴う行動規範」なんだそうです。

 

 女性は性行為の延長線上に妊娠が伴うこともあって、かなり性教育についての意識が高まっていますが、それに対して男性への性教育というのはあまりまだ系統だって整備されているとは言えず、性教育が片面的となっており、ひいては十全に女性の保護にもならないということもあって、「射精道」の意義があるようです。

 

 ということで、若く経験が少ないうちは自慰行為によって性行為の準備としてのトレーニングを行うとともに、自身の性衝動をコントロールできるようにすることを推奨されていて、実際に性行為に至る環境になったときに落ち着いて、相手を思いやった対応ができることが双方にとっての充実した性的な関係を送れるということです。

 

 中高年に至るまでの性行為の在るべきカタチを紹介されているのですが、どの年代においても、男性側が自身の欲望を女性に押し付けているという側面が強いようで、相手の意向というモノを十全に慮った上での取り組みというのが、あるべき「射精道」というモノのようです。

 

 ただ、最近「草食男子」なんてコトバが取りざたされるように、性行為を敬遠する若い世代の男性が多くなってきているようですが、モチロン相手を慮るということの重要性は否定すべくもないのですが、「射精道」なんて畏まったことになると、より性行為を敬遠してしまうことにならないかと、少し心配にはなった次第です…