日本史を疑え/本郷和人

 

 

 本郷センセイが日本史のおける、いわゆる様々な「定説」にギモンを呈された本です。

 

 本郷センセイは、過度な文献至上主義に常々ギモンを呈されていて、そもそも人間の営みって、そんなに変わるモンじゃないでしょ!?ということで、如何に文献に書かれているからと言っても、現在の我々の感覚とかけ離れたモノって、フツーにそれを受け入れてもいいのか!?というところを大事にされているのですが、そういったアプローチから見えてくる「定説」へのギモンにはこれまで釈然としなかったところがスッキリする想いがするところがあります。

 

 例えば、鎌倉幕府の成立について、我々の頃は源頼朝征夷大将軍に任ぜられた1192年だったのが、次第に各国に地頭を置くことを認められた1185年と変化していったワケですが、本郷センセイはそれよりも鎌倉に凱旋した1180年を提唱されています。

 

 というのも、そもそも従来の「貴族」(というコトバにもこの本の中でギモンを呈されていますが…)政権の権威に依拠することなく、武士の支持によって成立した「政権」が貴族政権からそれを追認されたことを「成立」とするのはおかしいんじゃないか!?ということで、実質的な要件としてナットク感が高いじゃないかと思います。

 

 また昭和初期にやたらもてはやされることになった元寇ですが、あれって鎌倉幕府の外交的なセンスの無さに起因するモノであって、本来であれば来襲自体発生しなかったはずのモノで、外交を求めてきた使節を切って捨てるという蛮行故に、元としても攻めざるを得なくなったという色彩が強く、勝手に国難のレベルを上げたという評価はわかりやすいところです。

 

 ということで、文献って割と書いた人に都合がいいように…という側面が色濃くあり、ちゃんとそれが書かれた背景というモノを考えることをもうちょっと加味してもいいんじゃないか、というのは「科学的」な態度なのではないか!?とワタクシも感じます。