大和路の謎を解く/関裕二

 

 

 昨日紹介した『古事記に秘められた聖地・神社の謎』に続いて、史跡探訪といった趣の本ですが、こちらは「大和路」が対象となっていますので、乙巳の変以降、奈良時代に至る時期がターゲットとなっています。

 

 著者の関さんは歴史作家なのですが、大和路に魅了されて奈良に通い詰めているということで、この本では東大寺興福寺法隆寺といった奈良を代表する史跡を辿りつつ、自説であるアンチ藤原氏の論説を語られます。

 

 先日、『新版大化改新』で乙巳の変について、敏達天皇系と用明天皇系の皇位継承争いという側面を紹介されていたことを取り上げましたが、こちらは改革派である蘇我氏に対する守旧派である中臣鎌足を中心としたクーデターという側面から語られています。

 

 それ以降も蘇我系vs藤原氏といった対立の構図で奈良時代を語られていて、天武天皇の後を継いだ皇后であった持統天皇が自身の知性になった途端、藤原不比等を登用したのは、実は反改革派であったとか、光明皇后聖武天皇に取り込まれて実家である藤原家に対してアンチなスタンスを取るようになったとか、定説とは明らかに異なりますし、ちょっと不自然じゃない!?と思えるような説を展開されていますが、意外とツジツマはあっていて(合っていることしか言っていないのかもしれませんが…)、それはそれで、ハナシとしては興味深いモノとなっていて、こういう風に論争を仕掛けるのも歴史学の活性化になっていいのかな…という気はします。