『妻のトリセツ』で一躍名を馳せた黒川伊保子さんですが、ちょっとその後マンネリに陥っているなぁ、と感じていたところ、先日紹介した2021年出版の『不機嫌のトリセツ』でちょっと潮目が変わってきたと感じていて、2022年出版のコチラもそういう流れにあるように感じます。
そもそも思春期というか反抗期というか、その時期に親に反発するのは、いわゆる思春期の頃は子ども脳から、大人脳への移行期にあたっており、13~15歳の3年間はハードウェアとソフトウェアのバージョンが合わない状態となっており、秩序だった対応が難しい場合があることに起因しているんだそうです。
親の方も12歳までは子どもを守る意味で頭ごなしに子どもの行動を否定してしまったりするワケですが、徐々にオトナになって自立を志向する中で、そういった対応に次第に反発するようになってくることと、親の方もその時期に脳の機能が理屈っぽくなる傾向があるようで、本能の赴くままに子どものやることなすこと「否定」しまいかねないという傾向もあるようです。
そんな中で親が思春期の子どもに自分の考えを押し付けようとし続けると、深刻な対立に陥るリスクがあるということで、子どものそういった脳の変化を認識した上で、子どもの状況を理解し、寄り添う姿勢をもつことが子どもとの良好な関係を築く上で、必須の対応だということです。
そういったカタチで子どもの在り方を肯定してあげることで、子どもの自己肯定感の情勢も促されますし、受け入れられているという実感が自信や自立にもつながるということで、親の方も次第に「子離れ」をすることで、親と子ども双方の自我の成長につながるといった側面もありそうです。
やはり子どもが親の所有物ではなく、個別の「自己」であるということをアタマにおいておくことが重要なようで、そういった意識が子どもとの良好な関係性や子ども自身の健全な成長につながるということを指摘されているのが意義深いところで、黒川さん自身がこの本の冒頭でおっしゃっているように、思春期の子どもを持つ親はモチロン、思春期真っただ中の中高生にも是非とも一読してもらいたいところです。