やさぐれトラックドライバーの一本道迷路/橋本愛喜

 

 

  先日、『物流危機は終わらない』を取り上げて、物流業界の危機的な状況を紹介しましたが、アチラが研究者目線というか外側からのモノだったのに対し、コチラはドライバー目線の内側からの危機を紹介した本です。

 

 『物流危機は終わらない』でも発注側からの受注側である運送業者ひいてはドライバーに対するかなり理不尽な仕打ちが紹介されていましたが、そういうモノにドライバーがどう感じているのかを含めて、現場でなければ見えない発注側のもっと陰惨な仕打ちを紹介されています。

 

 例えば、そもそも配送時間指定まで待たされること自体どうなんだ!?と思うのですが、指定時間内にも関わらず、17:01に届けたら「フツー17:00~19:00って言ったら、18時頃に届けるもんだろ!?」と言われてその時間の受け取りを拒否されて18時頃に再度届けることを強いられたとか、本来商品を守るためにあるダンボールに傷がついているからと言って賠償を求められて、でもちゃんと商品は受け取るという、客観的に見れば詐欺的なこともしているそうです。

 

 ただ、そういう依頼側の問題だけではなく、ドライバーのモラルにも苦言を呈されていて、路駐して寝ているドライバーだったり、飲酒癖が拭えないドライバーだったり、プロのドライバーとしてのモラルに悖ること自体が業界全体への偏見につながっていることも待遇が上がらなことの一因じゃないかともおっしゃられています。

 

 また、そういう待たされたりすることが常態となっているため、ドライバーの準備万端ぶりについても触れられており、食糧などは常に調理のコンロまで常備されている方が多いほどの万端ぶりで、トイレについてもペットボトルに「小」の用を足したりするなどの対策をとられているということで、最近毎年のように降雪による立ち往生が報じられて、ドライバーさんがどうしているんだろう、と思っていたのですが、サスガはプロだとナットクさせられます。

 

 そういうキビシイ状況を受けての、2024年問題への対応で、ドライバーさんが発注側に対して、ざまあみろという状況になればいいな、とは思うのですが、そういうワケにもいかないようで、どちらかというと他者との交流が不得手な人がドライバーになることが多いという事情もあり、ドライバーを選ばざるをえなかったり、やりがいを感じたりしている人も多い様で、そういうところに付け込む「やりがい搾取」的な側面も否めない様で、何とかしてあげたいけど大変だなぁ、って感じです…