AI新世/小林亮太、篠本滋、甘利俊一

 

 

 AIの進化と今後の人類とAIとの関わりについて語られた本なのですが、タイトルの「AI新世」というのは、斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』のヒットでクローズアップされた、地質学上の区分で、人類の繁栄が地球環境に多大な影響を与えているとした「人新世」という区分を設けられたということですが、同様のインパクトをAIが与えるのではないかということで名付けられたようです。

 

 この本では、出版時点の2022年でAIにどういうことができて、それがどのように活用されているのかということを紹介されるとともに、今後どのように活用の範囲が広がっているのかということを語られています。

 

 AIの活用範囲が広がっていくということについて、産業革命時に工業労働者の仕事が奪われたことを思い起こす向きが少なからずあるようですが、昨今、特に日本は少子化に伴う労働力不足が取りざたされる状況にあっては、基本的には労働集約的な業務において、労働力不足を補う救世主としての役割も期待されていて、特に昨今就業者の募集が難しい第一次産業第二次産業において、かなりそういった需要に応えるAIの適用が進んでいるということで、産業革命時とはかなり様相が異なることを念頭に置いておいた方がよさそうです。

 

 いずれにせよ、特に今後も労働人口の減少が見込まれる日本では、AI活用の拡大を前提にした働き方を念頭に置いておくことが必須であり、ひょっとしたらこれまで人口の拡大を前提としていた経済規模の拡大が、別のカタチで実現されるかもしれないという可能性を秘めたモノであるかも、という期待もアリかも…望みは薄いでしょうけど…