コロナ後の世界を語る/養老孟司、ユヴァル・ノア・ハラリ、福岡伸一、ブレイディみかこほか

 

 

 この本はまだコロナ禍の出口が見えない2020年に出版されたコロナ後を見据えた在り方を語られた本です。

 

 朝日新聞デジタルの連載『コロナ後の世界を語る現代の知性たちの視線』をまとめたモノで、『バカの壁』の養老先生、『生物と無生物のあいだ』の福岡先生、『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリなど名だたる論客が寄稿されています。

 

 それぞれのトピックの寄稿時期が、コロナ禍の拡大局面にある状況でのモノなので、コロナ後の今から見ると少し様相が異なるモノも散見されますが、実際にコロナ禍の最中で光明を見出そうとする必死さを感じるモノが少なからずみられます。

 

 よく言われたのが「グローバル資本主義」の失敗の一つとされて、その後のロシアによるウクライナ侵攻も相まって、各国が急激な揺り戻しで分断を深めたということがありますが、逆にコロナ禍の鎮静化にはグローバルな連携が必要なのではないか、という意見も見られ、そういう状況についてWHOなどの機関による総括が必要なのではないかと思います。

 

 また日本国内の対応においては、拡大当初の安倍元首相の超法規的な休校措置や、自粛頼りで法規の未整備が露わになるなど、継ぎはぎの対応が問題となって、そういう状況への反省について語られていますが、一定状況が沈静化した現時点においても、そういう総括をしようという動きもなく、また同様の事態が起これば、同様のドタバタ劇を展開するのかと思うと、日本の政官界の劣化は目を覆うばかりです。

 

 こういった本を、鎮静化した今の時点で再度企画してもらいたいところです。