日本人の足を速くする/為末大

 

日本人の足を速くする (新潮新書)

日本人の足を速くする (新潮新書)

 

 

 二日続けて「思索的」アスリートの著書です。

 「侍ハードラー」為末選手が現役時代に、ご自身が如何に「速く」なるか、試行錯誤しながら模索した取組を紹介されています。

 為末さんは、コーチをつけず自身で資料を読み漁り、どうすれば速く走れるか、ということを突き詰めようとしたことで、日本人ならではの「速さ」の追求をされていたようです。

 モチロン陸上競技において、アフリカ系のアスリートの身体能力は抜きんでたものがあるのは間違いないのですが、それでも得手不得手と言うのがあって、特に為末さん専門の400mハードルは日本人の特性を活かすことにより、アフリカ人アスリートに対抗する余地がある、と考え、それを突き詰めた結果、世界選手権における2度のメダル獲得につながったということです。

 この本を書かれた時点では、大阪での世界選手権、北京五輪での金メダルを目指して、さらに自身の走りを突き詰めようとされていた時期で、結果はご存知の通り、望みを遂げることはできなかったのですが、為末さんのノウハウだけでなく、こういう姿勢が日本の陸上界に受け継がれて、いつかトラック競技で金メダルを獲得する日本人が出てきますように!