マネーロンダリング入門/橘玲

 何か、久々の読後感ですね。
 多分、この読後感って、開高健の「日本三文オペラ (新潮文庫)」を読んだとき
みたいな感じですね。
 ムチャクチャ、ワクワクしてズンズン読み進めるのに、読み進めれば進めるほど
不気味さが増大していって、読み終わった後、爽快感とともに何か巨大な澱みが胸
の中に残るというか…

 まあ、マネーロンダリングの手管について、書かれているわけですが、中盤で
書かれている、ライブドア村上ファンド錬金術がママゴトに思えるほど、国際
金融におけるマネーロンダリングというのは、おどろおどろしいものに描かれてい
ます。

 著者が、金融というものは、本来境界の無いものなのに、国境というフィクション
を無理矢理に当てはめようとすると、さまざまなゆがみが出てくる。
 それを利用しようとする人々のすさまじさといったら!!

 最後のほうに、ローマ教会の正義派と現実派(敢えて、悪人ではなくそう呼びたく
なる!)の壮絶な闘いにまで、マネーロンダリングが絡んでいたとは!

 正直、難解ですが、何か分けの解らない興奮を掻き立てられました。