「旭山動物園」革命/小菅正夫

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)

 旭山動物園の園長の著書です。
 来場者数の減少で廃園寸前だった地方都市の一動物園が、日本一の
来場者を集めるまでに、どのような「手」を打ってきたか、について
書かれています。

 普通、動物園の集客って言うと、珍しい動物を連れてきて、それを
目玉にする、って言うのが定石らしいんですけど、連れてくるのに少
なくないお金がかかったり、飼育するのにも、環境を整えるのにお金
がかかったり、飼育自体のノウハウが難しかったりと、リソースの
限られた地方の動物園ではなかなか難しいようです。

 その中で、著者は、しっかりと動物園の強みと弱みを見極めて、
来場者が何を求めているかを分析した上で、どうやって手持ちのリソ
ースで、機会を生かしていくのか、ということについて、非常に有効
な手を打っています。
 ありていに言えば、しっかりとマーケティングの手順を踏んでいる
ということです。

 あと、飼育をされていた方として、当然だといえば当然なのですが、
非常に動物に愛情を持たれていて、その愛情が如何に動物たちを野生
に近い状態のままにして、その良さを来場者に見せるのかということ
につながって、それが集客につながったんだな、と思いました。