産業医が診る働き方改革/産業医科大学編

 

 

 この本が出版されたのは2018年なので、コロナ禍を経てのリモートワーク推進などといった「働き方改革」ではなく(ワタクシ自身もソッチを期待して手に取ったのですが…)、産業医の方が日々の業務の中で、不具合を訴える方への仕事の取組み方のちょっとした改善を促すことで、症状の改善を図って継続して働けるようにする取り組みを紹介した本です。

 

 常時50人以上の人が従事する職場には産業医を置くことが義務付けられているということですが、割と片手間的にこなせる(失礼!)のかと思いきや、職場で起きうるあらゆる疾患について通暁しておかなくてはならないだけではなく、その職場の業務も把握して、職場で発生するケガや病気について、それを予防したりするために業務の改善の指導もミッションのうちだということでかなり責任も重大だということで、地味ながらもかなり大変な仕事なんだということを痛感させられる内容となっています。

 

 昨今はメンタル疾患の罹患も多いということで、その恐れがある人へのカウンセリングをこなされたりすることもあるようですし、ケガや病気を経た人の業務への復帰に向けての支援プログラムの策定だったり、職場環境の改善といったことにも参画されることもあるようです。

 

 また、粉塵など化学物質を扱う事業所や建築業など事故のリスクがある事業所などにおいては、事故を防止するような業務プロセス改善に意見具申をするといった事例も紹介されており、単なる医師の枠にはとどまらない幅広い知見が求められるようです。

 

 産業医の方に対する見た目がかなり変わること請け合いで、企業においてもこういう活動を十分に支援するようにしてもらいたいところです。