日本料理の贅沢/神田裕行

 

 

 2010年の出版当時は元麻布にあり2022年に虎ノ門ヒルズに移転し、現時点で13年連続でミシュランの三つ星を獲得し続けているという日本料理かんだのご主人が語る日本料理の”真髄”です。

 

 神田さんは徳島出身でご両親が鮮魚店から転換して料理屋を営んでおられたということもあって、かなり早いうちから料理への興味が深かったということですが、そのフランスでの修行なども経て日本料理の奥深さに改めて目覚め、徳島の名店青柳での修行も経て、元麻布での独立に至ったということです。

 

 独立当時、相当な期待があったようで、色々な誘いもあったようですが、全18席という割と小ぶりなお店でスタートされたのですが、その理由というのがご自身が一番おいしいと思えるサイズの魚でお造りを提供できるのが18人が限界だということで、お店の規模を決められたということで、そのこだわりの強さをうかがわせます。

 

 ただそれだけ強いこだわりを持ちながらも、原理的に”教条”を押し付けるワケではなく、お酒の頼み具合を見て、アテ的な料理を中心に提供するようにするなどお客さんの様子に合わせて提供する料理を変えるなど、柔軟に対応されているということで、そういうサービスも13年連続ミシュラン三ツ星の秘訣なのでしょう。

 

 フランスでのご経験もあってかなり柔軟に食材を取り入れたり、ワインを相当な種類備えたりと、幅広いキャパを見せながら、素材をおいしく食べてもらうための調理法などについては妥協のないこだわりを見せる姿勢に凄みを感じます。

 

 にもかかわらず、割とハードルが高いと思われる日本料理を家庭でも再現できるコツも紹介されているのもうれしいところです。

 

 この本を読んでいると、何としても「かんだ」で食べたい!と思う人が多いと思うのですが、調べてみるとコースだけで49,500円、サービス料が加わって、さらにお酒を飲むと…さすがにちょっとワタクシにはムリかも…