感動のメカニズム/前野隆司

 

 

 以前、『幸せのメカニズム』を紹介した「幸福学」の提唱者前野隆司さんが、今回は「感動のメカニズム」を紐解かれます。

 

 感動の多い人生は幸せであることが多く、一定以降の年代にとって感動し続けるということは老化を遅らせるということで非常に重視されているワケですが、『幸せのメカニズム』でも幸せの要素を4つの因子に分けて分析されていたように、この本では感動の要素を「感動のSTAR分析」として、

  ・SENSE(五感で感じて感動)

  ・THINK(「知見の拡大」に感動)

  ・ACT(「体験の拡大」に感動)

  ・RELATE(「関係性の拡大」に感動)

の4つの因子に分けて分析されています。

 

 最近は企業のPR活動においても「感動」を掻き立てることが重要視されているようですが、そういう活動について様々な業界において「感動のSTAR分析」を駆使した調査をされたことを紹介されていますが、必ずしも同じ業界だからと言って同じ因子が多いというワケではなさそうで、自動車業界の分析ではトヨタの活動にSENSE、THINKの要素が多く、ホンダの活動にACT、RELATEの要素が多いというのは、企業カラーを反映しているようで興味深いところです。

 

 ただ、基本的には同じ業界のPR活動においては、同じ要素を訴求することが多いようで、マクドナルドもモスバーガーもTHINKの要素が多かったということですが、マクドナルドが差別化としてSENSEの要素を取り入れたというのが興味深いところで、差別化の要素が製品やサービスだけではなく、PR活動においても激化しており、特に昨今重視される「感動」を訴求する活動においては、「感動のSTAR分析」を駆使したプランニングがかなり有用なようです。

 

 また、分析と大仰に構えなくても、そういう要素があるだな、ということを意識しておくだけで、個人の行動においてもそういうことを意識しておくことで周りの人に感動してもらうこともできるということで、シアワセをもたらすツールとしての活用も提唱されているところが、サスガは「幸せの伝道師」といったところです。