「居場所がない」人たち/荒川和久

 

 

 「超ソロ社会」ということで、生涯未婚率が過半数にも及ぼうとする状況で「家庭」という「居場所」を持たないだけではなく、「地域」コミュニティも希薄化し、「職場」でのつながりもかつてと比べると低下しているという中で、どのように「居場所」を見出していくのか、ということを語られた本です。

 

 イギリスでは「孤独」担当相が設置されたように、「孤独」が世界的に社会問題となっており、日本でも菅内閣で孤独・孤立担当大臣を設定して、対応をしているということで、『80歳の壁』を始めとするシニア本で知られる和田秀樹さんが「孤独」や「孤立」に起因する老年性うつの危険性に繰り返し警鐘を鳴らされていて、その弊害がクローズアップされています。

 

 ただ、何らかのコミュニティに「属する」ことが必ずしもいいことかというと、日本的な「同調圧力」の温床だったりもして、弊害もあるワケで、そのあたりをどう立ち回るかということは、バランスを求めらるところかもしれません。

 

 この本で提唱されているのは、ことさら「所属するコミュニティ」での関係性に拘泥するのではなくて、自らの興味などに基づいてコミュニティに「接続」するというカタチで、ある意味功利的に「つながる」ことで、ミョーなしがらみに捉われることなく「孤独」や「孤立」を避けるというのは、あまり顧みられることのなかったポジショニングですが、「超ソロ社会」が不可避な状況の中、念頭に置いておくべきなのかもしれません。