みんなに好かれなくていい/和田秀樹

 

 

 ここ数年『80歳の壁』の大ヒットを契機にシニア向けの著作が相次いでいた和田センセイですが、この本は小学館YouthBooksという10代向けの新書シリーズの1冊となります。

 

 演出家の鴻上尚史さんが「同調圧力」に関する著書で、誰とでも仲良くすることを勧める日本の教育について再三苦言を呈されていますが、和田センセイも同様の苦言を呈しつつ、どうすれば友人関係に「依存」せずに済むかということについて語られています。

 

 そもそも友人というのは、ある意味親からの「自立」の証左のいう側面もあるようで、自我の形成の重要な要素だということなのですが、昨今競争を避けてやたらと横並びの共生をもてはやそうとすることが教育現場で蔓延していて、かつてなら勉強の成績を上げることやスポーツで活躍することで自己肯定を図っていたところが、友人を増やすことで評価されようとする子供たちが増えているようです。

 

 それも心底、仲が良い友人関係だったらいいのですが、カタチだけの友人関係でなにか釈然としないモノを感じつつも、ハブられることを恐れて表面的に仲良く見せてホンネが言えない状況になっていることが多い様で、水面下ではSNSの裏アカでのイジメが蔓延してしまったりするようです。

 

 そんな中で和田センセイは、別に好きでもない子と表面的な付き合いをする必要はなく、少数でもホンネで付き合える「親友」と言える友人を持つことに注力すべきだとおっしゃっていて、そのための方法論として、自分がほかの人と比べて、何か一つでも抜きんでたモノを持つことによって、それをよりどころにして自信を持ち、表面上の友人関係に依存せずに済むんじゃないかということです。

 

 そのためには、親の方も自分の子どもが一見孤立しているように見えるのに一喜一憂しないことが重要ですし、子どもに全幅の信頼を寄せるということが重要なようです。

 

 なかなかそういう境遇になるのは難しいかもしれませんが、そういう考え方がスタンダードになることを切に願います…