TEST MATCH/宿沢広朗

TEST MATCH―宿沢広朗の「遺言」 (講談社+α文庫)

TEST MATCH―宿沢広朗の「遺言」 (講談社+α文庫)

 世間的な関心は著しく低いですが、ただいまラグビーのW杯がニュージーランド
で開催されています。
 で、思い出して、現時点では、W杯での日本の唯一の勝利をもたらした監督の
著書を手にとって見ました。(まあ、W杯が終わった時点で、未だ唯一の勝利の
ままでないことを切に願っておりますが…)

 急逝された時点では、三井住友銀行執行役員と言う要職にあり、有能なビジネス
マンとしての顔も持っていた著者ですが、ニワトリが先か、卵が先かという話では
あるのですが、ラグビーの試合への準備の仕方が、非常に戦略的なのです。

 日本にとって、ラグビーテストマッチ(名前は練習試合みたいですが、国の
代表同士の試合を、ラグビーではこう呼びます。)では、ほとんどの場合格上と
の試合になるのですが、そういう場合でも何か付け入る隙はないか、どうやれば
最終的に勝利を手にすることができるのかを見通します。

 その上で、徹底的にその方法論をチームに浸透させるのですが、その過程での
情報収集への執念は恐ろしいばかりです。

 ラグビーの世界では、常々言われているのですが、宿沢さんが今、ここにいたら
なあ、と思わされます。