サッカー選手の正しい売り方/小澤一郎

サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ、儲けられない日本のクラブ

サッカー選手の正しい売り方 移籍ビジネスで儲ける欧州のクラブ、儲けられない日本のクラブ

 昨今、日本代表クラスの比較的若い選手を中心に、欧州への移籍が進んでいますが、必ずしも
旧所属クラブに金銭的な利益をもたらしているわけではない状況を鑑みて、どうやれば、選手、
クラブ共に実りのある「移籍ビジネス」のモデルを構築できるか、と言うことについての本です。

 欧州の中小クラブと違うところと言えば、日本のクラブは、移籍というか、選手を「育てて売る」
ということについて、半ば後ろめたいところがあると感じているんじゃないか、ということを指摘
されています。
 そのことが、そういうビジネスモデルを前提とした体制の確立の遅れにつながり、そこをドイツを
中心とした、日本人に注目するクラブにつけこまれているのではないか、ということです。

 また、選手の移籍という側面についても、今は格安だから目を付けるクラブがあるけど、それなり
の価格が付くようになったときに、不利な側面は否めないと書かれています。
 その傍証として、本田選手や香川選手といった、欧州で一定の成果を残した選手が次のステップを
踏む際に苦労していることを挙げられています。

 こういった状況を打開して、Jクラブが移籍で報われ、選手が「市場価値」に応じた評価を得られる
ようになるために、協会も含めた体制の整備が必要だ、とされています。

 改めて見てみると、問題だらけで道なお遠し、というふうに感じますが、ひとつひとつ解決していって
日本選手がチャンピオンズリーグの決勝で活躍するような日が来ることを切に祈って止みません。