失敗はお金に変えられる/菊原智明

 

失敗はお金に変えられる (経済界新書)

失敗はお金に変えられる (経済界新書)

 

 

 この本は基本的に営業マンがターゲットなんですが、かなり汎用的にビジネスパーソンに止まらず、学生の方なんかにも役に立ちそうです。

 著者は、ご謙遜もあるんだと思うのですが、元々住宅メーカーのダメダメ営業マンだったということなんですが、ご自身の自宅を購入したのをキッカケに「失敗」を集めた営業レターを中心とした営業スタイルに変換してからトップ営業マンになったと言う方です。

 「失敗」というのはツラいものですし、できれば隠しておきたいという人間の性ゆえに、あんまり共有されないモノなんですが、逆にそれゆえに実は貴重な情報だったりするようです。

 ということで、住宅販売におけるお客さんからのクレームを集めた「失敗集」を元に営業したところお客様からの信頼を集めたというところと、ご自身の営業での失敗を書き留めておいて、それを活用しようということの2本立てで成功した=おカネに換えた、ということのようです。

 失敗を活かせ!と言うのはよく言われることですが、なかなか実行に移せないモノであるのも正直なところで、でもこの本で紹介されている菊原さんの見事な逆転劇を見ていると、ちょっとやってみようかな、と思える内容です。

 現状に閉塞感を感じている方は、是非手に取ってみて下さい!

 

本当においしい中国料理が食べたい/中西純一

 

本当に美味しい中国料理が食べたい

本当に美味しい中国料理が食べたい

 

 

 この本、インターネットの黎明期からグルメサイトを運営されていて、数々の著書でも知られるさとなおさんが、ご自身のサイトの中華料理のコーナーで、「中華料理への見方を根底から覆された」と紹介されているのを見て、手に取って見ました。

 ちなみに中華料理ではなくて、あくまでも「中国料理」なんだそうです。(笑)
 
 日本ではあまりにも「中華」料理が人気があり、かつ日本に溶け込んでしまっているもんで、却って本格的な「中国料理」への理解が妨げられているのではないか?と指摘されています。

 この本で紹介されている「中国料理」は、「正宗中国菜(シノヴェリ)」という本格的なモノで、実はこれだけ中華料理が溢れている日本でも味わえるところは少ない、ということです。

 その「正宗中国菜(シノヴェリ)」を見出し、楽しむための方法論を紹介されているのですが、ホントに目からウロコです。

 いくらいい食材を扱っている店であっても、予約もせずにいきなり訪れて、その魅力を十全に味わうことは不可能なようで、予約をした上で、食べたいもの食べられないもの、予算を明確にした上でお願いすることが、少なくとも必要なようです。

 また、五千円以上位でお任せのコースを出せるような店でないと、シノヴェリといえるモノは味わえないようです。

 確かにワタクシも仕事で、度々中国に行っていた時期があって、現地の人に連れて行ってもらった店との大きな差に驚くことが多かったのですが、こういうことだったのか!?と唸りました!

 なお、それほど多くないながらも日本でもシノヴェリと言えるモノを味わえる店があるようで、この本を参考に探してみましょう!

 

マラソン能力別上達法/伊東嗣朗

 

マラソン能力別上達法―サブ3・5 サブ4 サブ4・5

マラソン能力別上達法―サブ3・5 サブ4 サブ4・5

 

 

 市民ランナーのフルマラソンにおける目標達成をサポートされている方の著書で、サブ4.5、サブ4、サブ3.5とそれぞれのレベルにおいて必要となるトレーニングを紹介されています。

 この本が特徴的なのは、それぞれの目標を目指すのはいいんだけれど、現状はどうなんだ!?ということをちゃんと意識したモノになっていて、ワタクシの目下の目標であるサブ3.5についても、あと少しで達成という3時間40分以内のタイムを持っている人と、ワタクシのようにようやくサブ4を達成したばかりで、あわよくば3.5を…と思っているレベルとを明確に分けて考えていて、それぞれによりふさわしいトレーニングプランを紹介されています。

 そういう意味じゃ無理にタイムを上げたいという人には、あまり向いていない本です。(って言うか、冷静に考えるとムリだよ、って暗に言ってるってことかな?)

 もう1つ特徴的なのは「主観的運動強度」という概念を紹介されていることで、他の本を読んでて疑問に思うことがあったのが、じゃあ自分のレベルのジョグってキロ当たり何分で走るのがいいんだ?ということなのですが、それぞれのレベルやその時の状況にもよるので、一概にピッタリのタイムを紹介するってのはムリでしょ、っていうのは理解できるのですが、じゃあ、ぶっちゃけどれくらいで走ったらいいのか知りたいっているのも正直なとこで、それを解決するのが、この「主観的運動強度」なのです。

 「遅すぎてツラい…」という強度9から「心臓が飛び出そう」という強度19までの11段階で、それぞれの強度で走った時の「感覚」を解りやすく表現されていて、逆に使いやすいかも…と思いました。

 ようやく腰の故障から立ち直りつつあって、今後距離を踏もうとするよりも、トレーニングの質を上げなければ…というのがあったので、いい本を見つけました!

 

大放言/百田尚樹

 

大放言 (新潮新書)

大放言 (新潮新書)

 

 

 数々の「炎上」で知られる作家の百田さんが開き直った?本です。

 確かに、元々関西のお笑いの世界で脚本を手掛けられていただけあって、ミョーなサービス精神からブラックな発言をされている側面もあるんですが、でもよくよく読んでみると、ごくごく一部のフレーズのみをあげつらって、バッシングをしているという側面もあるようです。

 「放言」とは言っているものの、かなり「まっとうな」ことを語られている方が多くて、どっかで大手マスコミを「敵」に回してしまったことで、悪意で捉えられているという部分もあるようです。

 それにしても、ホンのジョークをあげつらって袋叩きにする昨今の風潮って、コワいですねぇ…

 

憲法という希望/木村草太

 

憲法という希望 (講談社現代新書)

憲法という希望 (講談社現代新書)

 

 

 前に手に取った、新進気鋭の憲法学者である木村さんの本が興味深かったので、最新刊を手に取ってみました。

 この本は憲法の主だった条文について解説を加えると共に、現在議論になっている憲法上の問題についての解釈を紹介します。

 まずオモシロいと思ったのが、憲法と言うのはその国のそれまでの歴史に対する「反省」を集めたものだ、ということです。

 顕著なのが日本国憲法第9条で、大日本帝国憲法下で軍国主義に突っ走ってしまった「反省」からできた条文だと言えるでしょう。

 ただ現在の日本においては、あまりにも一般国民に対する憲法への啓蒙が行われていなくて、国民のほとんどが、中学・高校での公民の授業でホンのサワりだけを教わって
いるにすぎないということで、日々の生活の中で憲法を意識することがあまりに無さ過ぎる状況で、国家が好きなようにできるように、敢えてそうしてるんじゃないだろうか、と勘ぐってしまいたくなります。

 例えば、沖縄の普天間から辺野古へのアメリカ軍基地の移設なんですが、基地では現地自治体の施政権が著しく制限されることから、木村さんの解釈では、憲法上、住民投票での同意を経た上での立法措置が必要だということなんですが、自民党政権では行政権の行使で押し通そうとしています。

 特に安倍政権では、安保法制の話もありましたが、行政権を拡大解釈する傾向が強く、そういった意味で、我々の権利を守るためにも憲法をよく知った上で、政府の動きを見張っておく必要がある、と強く思いました。

 

出世しない技術/梅森浩一

 

出世しない技術

出世しない技術

 

 

 チェース・マンハッタン銀行の日本法人で人事部長を務められた方による「非・出世」論です。

 そんなエリートに「非・出世」を語られてもイヤミなだけだと思われるかもしれません。

 でも、シャカリキに出世を目指して挫折してきた人達を多く見てきている方だからこそ語れるのかも知れません。

 まずは、「出世をする・しない」の損得勘定をして、それでも出世に突っ走っていくだけの見通しが立っているならばいいのですが、仮に挫折はしなくても意外と悲惨な末
路があることも否定できないようで、そこは色んな可能性を冷静に判断する必要がありそうです。

 そんな中で「出世をしない」ことを選択したといっても、ただグータラしていたら、今のご時世、会社をたたき出されるだけなので、必要な人材でありながら、昇進をさせるには…というビミョーなラインを目指す必要があって、意外とカンタンではなさそうです。

 でも、ワークライフバランスじゃないですが、仕事をある程度の線で割り切ってしまうことが、人生全体で見るとシアワセなのかも知れないなぁ…と全く出世できないワタクシが言うと、単なる負け惜しみ?(笑)

 

イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」/デービッド・アトキンソン

 

 

 『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』にイタく感動した、日本在住の元アナリストであるアトキンソンさんに、他にも著書があることを知って手に取ってみました。

 『新・観光立国論』より後に出版されたようなのですが、元々日本の銀行なんかを相手にアナリストとして活躍されており、その時の経験を中心として、「外から」見た日本人の「強み」「弱み」を語るというモノです。

 よく言われるように日本人の勤勉さというのは「強み」として触れられていて、日本の発展の原動力であったことは間違いないようですが、ただ、それ十全に活かされてい
るかと言うと、そこはギモンなようで、最近はよく言われるようになった日本人の生産性の低さと言うモノを指摘されています。

 ザックリ言うと、個々の日本人は他の国比べて優秀なのに対し、マネジメントと言うか、個々の能力を引き出すと言う意味での「能力」は、他の先進国よりもかなり劣っていると言えそうです。

 ただ、そこを単に「弱み」としてとらえるだけではなくて、日本全体として大きな「伸びしろ」でもあると指摘されていて、今後の進化に期待したいところです。