対決!日本史4 日露戦争編/安部龍太郎、佐藤優

 

 

 以前、『対決!日本史3 維新から日清戦争篇』を紹介した歴史小説家の安部龍太郎さんと”知の怪人”佐藤優さんの日本史本ですが、当初3巻目が維新から日露戦争をカバーするはずだったモノが、あまりに盛り上がり過ぎて日清戦争のところでボリュームオーバーとなり、日清戦争のところで止まってしまい、日露戦争は単独の巻となったということです。

 

 日露戦争がテーマということで、先日紹介した片山杜秀さんとの対談本『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』と被る内容も多少あるのですが、日露戦争とロシアのウクライナ侵攻との相似など独自の論点もあり、かなり興味深いモノとなっています。

 

 日露戦争ウクライナ侵攻の相似というと意外な気がするかもしれませんが、日露戦争時が日本のイギリスの代理、ウクライナ侵攻ではウクライナNATOの代理として戦いを強いられているということで、アングロサクソンは自分の代わりに誰かを戦わせることが上手いということを指摘されているところは目からウロコで、今までも散々どこかの国がそういう目にあわされてきているということです。

 

 また、日清戦争でも言及されていたのですが、日露戦争においても日本はまた要求しすぎだという悪癖を出していて、あくまでも「負けなかっただけ」の結果にすぎないにも関わらず賠償金を要求してロシアのプライドを傷つけたことが後々まで禍根を残すことになるとは当事者たちも思わなかったでしょうし、弱みを見せるワケにはいかなかったのは理解できるのですが、悪手を踏んでしまったことは否めません。

 

 日露戦争後の世界を取り巻く状況は、昨今の状況と似通ったところが多いことにも触れられいて、当時、間を置かずして第一次世界大戦が勃発したように、ウクライナ侵攻やガザでの紛争が世界大戦へとエスカレートしていきかねないギリギリの状況にあるという認識でお二方は共通しているようで、佐藤さんの大病で遅れているようですが、5巻目で予定されているという第一次世界大戦についての論評を楽しみにしたいところです。