英語が社内公用語になっても怖くない/船川淳志

 多国籍企業での勤務経験を経て、グローバル人材の育成支援をされて
いる方の著書です。

 社内公用語がどうのこうのというよりも、ちゃんとビジネスにおいて
英語を使えるようになるにはどうすればよいのか、ということが主要な
テーマだと思えます。

 日本人にとっては、暗黙の了解が大きな割合を占めるコミュニケーシ
ョンスタイルだとか、過度に文法や発音での品質の高さが求められるこ
とだとか、障壁は高いのですが、そういうことを超えて、ビジネスで
使えるようにするためにどうすればいいのか、を解説されています。

 まず、目からウロコなのが、ビジネスの世界で使われる英語というの
は、アメリカンイングリッシュでもクイーンズイングリッシュでもなく、
グローバルイングリッシュなんだと言います。
 要は、アメリカ的なコンテクストやイギリス的なコンテクスト、そし
て、発音や文法の過剰な縛りに捕らわれず、如何に、早くコミュニケー
ションをするために、発音よりも発言内容を、文法よりも論法を重視
しようというものです。

 そのために、まずはマネから入って、それで多少通じるという成功
体験を身につけて、その後は、論理の型に合わせた話ができるように
なり、最終的には、戦略的な思考を「英語で」できるようになること
で、ビジネスの世界で「戦える」英語を身につけると言うものです。

 今まで、ビジネスの世界で「使える英語」というのが、お題目とし
ては掲げられているものの、ある程度のステップを踏んで紹介された
ものが見当たらなかったのですが、この本では、結構リアルに提示さ
れているので、「ビジネス英語」を身に付けたい、という人にとって
は、ちょっとしたバイブルっぽい本に成り得るんじゃないかと思いま
す。