サラリーマンは、二度会社を辞める/楠木新

 以前、『人事部は見ている。 (日経プレミアシリーズ)』を紹介した楠木さんの
著書ですが、そちらの方が、会社は社員をどう見ているか、という観点だった
のに対し、それに社員がどう対処するか、という側面から見たもの、と言える
かも知れません。

 会社に入って数年経った若手社員、バリバリと一線で業務をこなした末、フッ
と越し方を振り返る中間管理職、定年を目の前にした人、などなどそれぞれの
状況で、会社を辞めるという選択を迫られることがあるということなのですが、
会社が如何に組織全体としての調和→成果の発揮の実現ということのためにデ
ザインされているのに対し、高い能力を備えながらそれを発揮する場がないとか、
居場所を奪われるとか、そういった形で、各社員の会社における存在価値が脅か
される場面が来て、会社を辞めるか否か、という判断を突きつけられる訳ですが、
会社のメカニズムを理解した上で対処するのかそうでないのかによって、随分と
後の人生の充実度が変わってくると示唆されています。

 会社のそういうスタンスに対して、突かず離れずと言ったスタンスを取ること
も可能ですし、自分の適性を見直してふさわしい道を選ぶということも一つの
選択肢といえるでしょう。

 過度に会社に期待するのも、あっさり過ぎるほど会社を切り捨ててしまうのも
賢明な判断ではなく、自分との距離感というのを意識した上で対処することが
重要なのかもしれません。