堕落のグルメ/友里征耶

 

 

 以前『グルメの嘘 (新潮新書)』を紹介した辛口グルメ評論家の方の著書です。

 『グルメの嘘』では飲食業界の構造的な暗部を露わにして、スルドい指摘をされていてウナッたのですが、この本は…

 確かにこの本でも昨今話題になった食材の偽装やワガママ常連客の優遇に起因する歪みなどの“裏側”を告発されていますが、冒頭からの本の半分くらいを占める、“告発”した店から受けた“出禁”の実態を延々と垂れ流します。

 しかも“出禁”について憲法14条の平等条項を引き合いにだして、不平等な扱いだから法律に違反する!などと、ちょっと調べれば恥ずかしくて本に書けないような稚拙な法律論を振りかざして、せっかく社会的な意義のある“告発”の信憑性すらアヤシいものにしてしまっています。

 確かに非難された店側も“出禁”なんて対抗手段はホメられたモノではないですが、そういう私憤をネタにこんな本を出して、自身がこれまで積み上げられてきたモノを台無しにするなんて、愚かなことをしたものです。