里海資本論/井上恭介

 

里海資本論  日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)

里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)

 

 

 大ベストセラーとなった『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)』に引続き、NHKのドキュメンタリーから生まれた本です。

 「里山」に対して、こちらは舞台が“海”になったので「里海」なんですが、コンセプトとしては共通する要素があって、大量消費に対応するために栄養素を大量にブチ込んで養殖をした結果、海が汚染して養殖すらもままならなくなった時に、キレイな海を取り戻すために漁師の方々や研究者が試行錯誤を重ねた結果、アマモという水草を再生するためにカキの養殖が役立つということで、豊かな事前の海を取り戻したとのことです。

 さらには、海に流れ込む源流がある里山において、『里山資本主義』と同様の取組をしたことと結びついて、よりカキが生育しやすい環境ができたようです。

 昨日の『政府は必ず嘘をつく 増補版 (角川新書)』でも触れられていましたが、経済のグローバル化の進展で過度の効率化が進み、自然への負荷も過大になったワケですが、自分たちの世代の都合で豊かな自然を壊してしまった反省から、次世代に受け渡すための豊かな自然を取り戻すために、こういった取組が徐々に世界中で広がっているということで、こういう動きを大事にしていきたいものです。