長嶋茂雄を思うと、涙が出てくるのはなぜだろう/テリー伊藤

 

 

 テリー伊藤さんによる“ミスタープロ野球長嶋茂雄さん礼賛の本です。

 ワタクシ自身長嶋さんが引退した翌年に小学校に入ったので、長嶋さんの活躍をリアルタイムでは体験していないのですが、よく長嶋さんの活躍が日本の高度成長期をけん引したというようなことが言われますが、テリーさんの激情のほとばしりを聞いていると、それも大げさな話じゃなかったのかなぁ、という気がします。

 また“天然”だと言われる長嶋さんですが、日本国民のそういう期待をよく踏まえていたからこそ、ここぞと言うときに活躍できたということで、テリーさんの個人的な長嶋さんとの交流からのエピソードや、次女の長嶋三奈さんへのインタビューを通して、決して努力する姿を見せないながらも、期待を裏切らないために相当な努力を重ねられていたことを紹介されます。

 特に印象的だったのが、病に倒れられて以降も、イメージを崩さないために、ダンディなスーツ姿を押し通しておられるということで、そういう話を聞くと「涙が出てくるのはなぜだろう」というタイトルにミョーにナットクしてしまいます。