この国のたたみ方/佐々木信夫

 

この国のたたみ方 (新潮新書)

この国のたたみ方 (新潮新書)

  • 作者:佐々木 信夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/09/13
  • メディア: 新書
 

 

 都庁での勤務経験を経て、行政学を専門とされている大学教授が人口減少が進行していく日本における地方自治の在り方について提言された本です。

 橋下徹氏率いるおおさか維新の会が「大阪都構想」を引っ提げて、大阪府大阪市を発展統合して「大阪都」とするよう住民投票を行ったのを思い出しますが、そういった二重行政のムダというのは特に政令市で顕著なんですが、程度の差こそあれ都道府県と市町村の業務の重複があるのですが、今後は人口減少に伴う税収の減少などから、そういったムダな状況に耐えられなくなるとおっしゃいます。

 そこで、密接な住民サービスを行う市町村はいいとして、現在の都道府県の単位ではなく、もっと広域行政を行うことで二重行政の状態をできるだけ少なくするとともに、現在あまり有効に機能していない広域的なニーズに対応するために、全国を9~10の道州制とすることを提唱されていて、よりダイナミックな活性化を企図した組織にすることを提唱されていています。

 道州制というと小泉内閣時代に小泉首相が導入を目指すことを表明していましたが、その後尻すぼみになってしまって、ずっと影を潜めていましたが、おおさか維新の会による知事と市長のスワップ選挙に成功し、再度の「大阪都構想住民投票を契機に議論が進むことも期待できます。

 実は、割と気長に構えている余裕は無さそうな課題みたいなので、何らかの国民的な議論が湧き上がる必要があるのではないかと思うんですが…