国を変える力/猪瀬直樹

 

 

 2012年に当時の石原都知事の退任を受けて東京都知事となったものの、不透明な政治資金の問題で1年あまりでその職を辞することになる猪瀬氏が石原都知事の下で副知事を務められていた頃の、国政、地方行政に関する対談を集めた本です。

 

 地方自治については当時の宮崎県知事である東国原氏、国政については、ご自身の二代後の都知事を務めることになる小池百合子氏、教育については、当時民間出身初の校長の任期を終えたばかりの藤原和博氏、「百ます計算」の隂山英男氏など、そうそうたる面々とのやりとりで、当時からそれなりの野心もあったようで、そういう問題意識を以て副知事を務めているのだというアピールもあったでしょうし、これだけ豪華な論客を向こうに回して、かなりキレのある論を展開されています。

 

 評論家として活動されているときは、斜に構えた論調が個人的にはイラっとしながらも、言っていることには不思議にナットクさせられるところがあった記憶があったので、この本で述べられていることについても、かなり賛同すべきことが多いワケですが、結局、石原氏の影に隠れているときはまだしも、都知事としては1年あまりの期間しかなかったこと、昨年日本維新の会から参議院議員に当選されたものの目立った活躍がないというのは、論は立っても政治家としての実行力は伴っていなかったということなのかも知れません。