最後の講義 完全版 人のために生きることは自分のために生きること/𠮷岡秀人

 

 

 このブログでも、出口治明さん上野千鶴子さんのものを紹介してきた、NHK『最後の講義』ですが、今回は長らく途上国での医療、特に小児医療に携わってこられた𠮷岡秀人さんの回をまとめた本です。

 

 𠮷岡さんは、ご謙遜なのかもしれませんが高校の時の成績はさんさんたるものだとおっしゃっておられたということですが、受験する過程で医学部を志し、二浪したうえで医学部に入り、医者となられる念願を果たされます。

 

 1995年にミャンマーでの医療支援を皮切りに途上国での活動を開始されたのですが、当時のミャンマーはロクロク医療機器や薬もない中で、悲惨な病気の子供たちを助けられないまま見送ることになるという経験を重ねられて、ご自身が直接治療にかかわられながら、NPOを立ち上げて途上国の医療環境向上に向けた取り組みにも関わられてこられたということです。

 

 そんな中で30年近くにもわたりそういう活動を続けてこられた所以について、ただ目の前の患者を救いたい、という熱意が周囲にも伝わり、そういう「仲間」を増やしてきたからだとおっしゃいますが、利他というのはかなり強力なモチベーションであることを語られていて、何でもいいから自分が人のためになることを見つけることが、思わぬ人生の展開につながることがあるかもしれない、ということをおっしゃられています。

 

 なかなかここまで他人のためになれる人になるのは難しいかもしれませんが、ちょっとしたことでも積み上げていけば、喜んでくれる人が増えてくるのかもしれません。