池上彰と考える、仏教って何ですか

 

池上彰と考える仏教って何ですか?文庫版

池上彰と考える仏教って何ですか?文庫版

  • 作者:池上彰
  • 発売日: 2014/10/09
  • メディア: 文庫
 

 

 仏教がマイブームだということをお話しましたが、あるテーマの概況を知るのなら、やっぱり池上さんでしょ!?ということで、池上さんにこんな著書があると知って手に取ってみました。

 

 さすがは池上さん、期待以上に仏教の誕生から、基本的な考え方、日本での展開など、知りたいと思っていた内容がくまなく網羅されていて、かつチベット仏教の法王ダライ・ラマ14世との対談まで掲載されていたのには驚きました!

 

 現在の日本では仏教というと葬式や法事のことを思い浮かべることが多いとは思いますが、やはり江戸時代の檀家制度の影響が大きいようで、本来は自己救済というか、自身で問題を解決しようというところで、他の三大宗教であるキリスト教イスラム教と大きく異なる点であり、そういう絶対神を前提にしないところが、他の宗教と比べて論理的な性格が強いということで、科学的な進化との親和性も高いという指摘は、結構オドロキでした。

 

 ダライ・ラマ14世との対談で印象的だったのが、やはりその論理性で、自身の置かれた状況についても、かなり厳しい状況に置かれているはずなのに悲観し過ぎるでもなく、だからといって楽観しすぎるのでもなく、そのプレーンな姿勢が、より原始仏教に近いと言われるチベット仏教の在り方を認識させられた次第でした。

 

 オウム真理教がインテリ層に指示を受けたことや、昨今の仏教の思想をベースとした自己啓発書のヒットなど、自助的な考え方というのはかなり求められるところが多いと感じますし、日本の仏教界も葬式仏教だけじゃなくて、そういう方向に目を向けて行った方がいいんじゃないかと思わされるモノでした。