小池龍之介さんの諸作をキッカケとして、仏教が最近のマイブームだったりしますが、その「マイブーム」というコトバを生み出したみうらじゅんさんも仏教に造詣が深かったということを思い出して、この本を手に取ってみました。
みうらさんは仏像好きなことはワタクシも何となく認識していて、いとうせいこうさんとの仏像に関する共著もあるということですが、その仏像好きが実は小学校の頃からだったということがこの本で紹介されていて驚かされますが、元々怪獣好きだったみうらさんが、仏像を見て怪獣と同様のカッコよさを感じたのがキッカケだということです。
その後、住職になりたいと思って仏教系の学校に進むまでにイレ込んだみうらさんで、結果として僧職に就かれることはなかったワケですが、少年時代から親しんだ仏教の考え方が身に沁みついているようで、その後いとうせいこうさんとの出会いで、仏教への想いが再点火されたようです。
美大の受験で浪人をされていた頃に、石膏像を落として壊してしまって「諸行無常」を感じたり、描いていたデッサンに「色即是空」を見出したりと、仏教の世界を離れて美大を目指している時期も、折に触れて仏教的な感覚を思い出されていたようです。
また、最近も奥さんに用事を頼まれた際に、「なんで俺が!?」とメンドくさがるのではなくて、そういう自我を抑えることを「僕滅運動」とおっしゃっているのは、「マイブーム」や「ゆるキャラ」というコトバを生み出したみうらさんの面目躍如な感じがしてウケました。
それ以外にもフツーの生活の中に、たとえみうらさんのように仏教にイレ込んでいなくても、仏教的な要素がふんだんにあることを、ご自身の生活を振り返って紹介されており、やはり日本人の生活のあらゆる側面に仏教の考えが息づいていることを改めて認識させてくれます。
結構コミカルな表現に眉を顰める向きもあるようですが、みうらさんがおっしゃるように日々の暮らしの中に仏教の考え方が息づいているということを再認識するのは、多くの人に取って意義があることなんじゃないかと思いますし、そういう意味で個人的には非常にタメになる本だったと思います。