VISION/三笘薫

 

 

 2022年カタールW杯予選の大一番オーストラリア戦の2ゴールで鮮烈なデビューを飾り、W杯本番でもスペイン戦の軌跡の逆転ゴールのアシスト「三笘の1ミリ」で名を馳せ、2022/23シーズンのプレミアリーグ・ブライトンで目覚ましい活躍をし、一躍ビッググラブへの移籍も取りざたされるようになった、今一番サッカー日本代表でアツい存在である三笘薫選手の自伝的な著書が出版されたので手に取ってみました。

 

 まあ、行ってみればこの本も活躍したスポーツ選手のクロニクル本と同じく、活躍した競技を始めて、活躍して一定の結果を出すまでの過程を紹介したモノに変わりはないのですが、この本はサブタイトルに「夢を叶える逆算思考」とあるように、三笘選手がここまでの成果をもたらすにおいて役立った「逆算思考」の考え方をキャリアで活用してきた過程を紹介することで、同様に「夢を叶え」たい若い人やビジネスパーソンにもアピっているところが、知性派の三笘選手の面目躍如といったところかもしれません。

 

 その考え方が確立したのは大学の頃のようですが、かなり早いうちから、サッカーでああいう風になりたい!と思うのはよくあることだと思いますが、三笘選手はそこで自分に何が足りなくて、どうすればああなれるのか!?という考え方をしていたということで、そういう思考癖が三笘選手のキャリア形成に大きく役立ったとおっしゃっています。

 

 確かにそういう改善の積み重ねという思考を若いうちから身に着けているのがスゴイのは間違いないのですが、何よりもスゴイと思うのは、三苫選手が自分の現状を過不足なくプレーンに冷静に見極められるところで、すでに有名なエピソードではありますが、高校卒業時にもユースで所属していた川崎フロンターレからの誘いは受けたのですが、このままでは自分のキャリアの展開が見込めないということで、筑波大学に行って鍛えなおしてから改めてフロンターレに入団したということですが、フツーはそういう選択はなかなかできないところだと思います。

 

 コトバ通りに、筑波大学で当時ケガがちだったところをトレーニング方法や食事の改善など自分に足りないと思ったことを着実に埋める作業を続け、有名になった卒論でのドリブル研究など、必要なことをしっかり準備をして、満を持してプロとしてデビューしたからこそ、短期間で世界のトップリーグであるプレミアでの大活躍ができるところまでのブレイクを果たせたんだと思います。

 

 昨シーズン後もビッグクラブへの移籍も取りざたされましたが、結局今シーズン、ヨーロッパリーグにも出場するブライトンでのプレーが自分の成長にとってベターだと判断するところは三笘選手らしいと感じましたし、そういう冷静な思考が今後の更なる活躍を期待させられます。