ソース焼きそばの起源と発展の歴史を追った本です。
あまりに身近な食べ物なので忘れてしまっているところがあるのですが、考えてみればソース焼きそばというのはキミョーな食べ物で、中華の麵を炒めて、英国を起源とするウスターシャソースから転化したソースで味をつけるという、でもどちらの国ともあまり関係のない、いいとこどりというか節操のない、如何にもある意味日本的な食べ物ですよねぇ…
起源としては昭和11年頃の浅草で、ラーメンとお好み焼きを出す店があって、そこでまかない的に食べていた中華麺を炒めて、当時オシャレだったソースをかけたモノをお客さんにも出したというところから始まっているようです。
その後、戦争中は中華麺が入手しにくい状況になって、一旦ソース焼きそばの歴史は途絶えるのですが、戦後の闇市などで、GHQが飢餓対策で大量に輸入した小麦が流れたのをキッカケに再度広まり始めたということです。
ただ、一定期間は東京や大阪の大都市圏に限られていたということですが、その理由としてはあまり地方に中華麺が流通しなかったということもあるようで、大阪などでは代用品としてうどんを炒めた焼うどんなどがみられたようです。
その後、昭和30年代以降、地方にも広がり始めたようですが、長崎ではチャンポン麺を炒めたり、広島ではお好み焼きへの進化など、地方独自の文化との融合もあって、ソース焼きそばがこれだけ愛されるモノになったのでしょう…
今後、「炒麺」や「皿うどん」などのソース焼きそばの「兄弟」についての続編も温められているようなので、楽しみにしたいところです。