2021年に現役を引退された松坂大輔投手のメジャー移籍までをカバーしたクロニクル本です。
松坂投手というとあまりにも高校時代の活躍が鮮烈過ぎて、プロに行ってから、さらにはメジャーに行ってからも相当な活躍をされているにも関わらず、どこか物足りなく感じてしまうところが逆に恐ろしいところで、特にメジャー移籍後はケガの影響もあって、どうしてももっとやれたはずだと多くのファンが思ってしまうところが、本人にとってもファンにとっても不幸なところがあったような気がします。
ただ、改めてメジャー移籍までのNPBでの活躍ぶりを振り返ってみると、高卒即ローテーションで最多勝まで獲得し、7年間ほぼトッププレイヤーとして活躍しただけではなく、第一回WBCでは優勝投手となりMVPも獲得されるなど、やっぱり凄かったんだということを改めて思い起こさせてくれます。
この本ではメジャー移籍の過程と、元日テレアナウンサーの柴田倫世さんとの結婚に至る過程に多くの紙幅を割かれていて、主要なテーマとされているようです。
特に結婚に至る過程が興味深く、6歳年上の奥様にアプローチする過程で、人間的に格段の成長を遂げ、プロのアスリートとしての心得を身に着けることになった様子を紹介されていて、そういう意味で奥様の果たされた役割というのが計り知れないほど大きかったんだな、と思います。
また、後年のケガだけではなく、傍目からは順風満帆に見えた中でも、言われのないバッシングを受けるなどの逆風を浴びながらもあれだけの成績を残したところが恐ろしいところで、昨今、高卒即一軍となることすら珍しくなったことを見ると、NPBの競技レベルの向上もあったんでしょうけど、当時の松坂投手、イチロー選手、清原選手たち、高卒即トップレベルで活躍した選手たちの凄みを改めて確認させられた次第でした。