役に立たない読書/林望

 

 

 リンボウ先生の読書論です。

 「読書論」といっても、先日著書を紹介した樺沢紫苑さんの『読んだら忘れない読書術』にような実用的なモノではなく、どちらかと言うと豊かな教養を身に付けると言った側面の強い内容です。

 そういう趣旨で読書をするのであれば、やたらと数を読むことが重要なワケではなく、「自分にとって「心の栄養」となるような本を読」むことが重要で、それを自分なりに熟読玩味することで、徐々に教養が醸成されていくようです。

 よくエライ人たちが古典を読むべし!とおっしゃいますが、事態を超えて読み継がれるものにはそれだけの価値がある、なんてケムに巻かれたような理由に釈然としない人も少なからずいらっしゃると思うのですが(ワタクシもその一人なんですが…)、
この本では、古典に書かれていることの中にも人の営みがあり、ぜんざいの我々と何ら変わらぬことで悩んでいたりする姿が描かれていて、そういう姿を味わうことで人情の襞のようなものが自分の中にできていくから…とおっしゃっているように感じました。

 あと1つ、子供に本を読んでもらいたい親として重要なリンボウ先生からの忠言!

 「読書と引き換えに何も求めないこと」…蓋し、至言ですね。

 

ズルい食品ヤバい外食/河岸宏和

 

知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食

知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食

 

 

 食の安全を啓発し続ける河岸さんの著書です。

 今回はスーパーと外食両方が取り上げられており、これ1冊買えば基本的な安全対策ができそうです。

 まあ、書いてあることは既刊本の内容とそんなに変わりませんが、最近の著書では、よく対応できているお店だけでなく、ダメな店の実名を出すようになってきていて、大丈夫ですか?と思うのですが、読者としては大変ありがたいところです…くれぐれも夜道には気をつけてください。

 相変わらず誤解されがちなコンビニの食品管理を高く評価されているのですが、あの流通システムは食の安全に関する各種施策をも可能にしていたんですね。

 あとは食品添加物について今回結構詳しく触れられているのですが、添加物には大きく分けて「美味しく食べるのに役立つ」モノと「店が設けるのに便利」なモノの2つがあって、添加物だからといって毛嫌いするんじゃなくて、分けて考えることをススメられています。

 また同じく日本人がこだわりがちな国産の食品なのですが、野菜なんかだと、実は輸入品の方が厳格に検査されているところもあって、必ずしも輸入品がダメというワケでもないようです。

 特に小さいお子さんの居られる過程ではこういう本を読んで、基本的な安全対策を振り返っておきたいところですね。

 

ポピュリズムとは何か/水島治郎

 

 

 先日紹介したポピュリズムに関する本が、著者自身の橋下徹への私怨のうっぷん晴らしに付き合わされるというハズレ本だったのですが、気を取り直して…

 BrExitだったり、アメリカのトランプ大統領就任だったり、フランスでの国民戦線への躍進など、ここ数年西欧においてポピュリズムが蔓延しています。

 ただポピュリズムが必ずしも“悪”というワケではなく、市民の意図を反映するという民主主義の本義からして、本質的にそういう要素を含んでいるワケなんですが、ただそれを「悪用」しようとする向きもあります。

 なぜこういった「暴走」的な現象になるかというと、イギリスのBrEixtの場合に「置き去りにされた(Left Behind)」と言われる人たちが、移民の流入による失業率の向上と言った現象に反対して…という具合で、トランプ大統領の当選も同様の力学が働いたがゆえだそうです。

 そういう内在する「毒」をどのように乗り越えていくのかで、民主主義の真価が問われている…と問いかけられてこの本を締めくくられていますが、如何にもう一度成熟を取り戻すかが大きな課題になりそうです。

 

戦争の日本古代史/倉本一宏

 

 

 歴史本が続きます。

 この本は「切り口」よりも、あまり触れられてこなかったマニアックな内容を紹介するという感じになるのでしょうか…

 「戦争の」となっていますが、そこに止まらず5~10世紀の東アジア諸国との外交史みたいな内容です。

 白村江の戦いとかを歴史で学んだ記憶はあるのですが、ちょっと唐突感があって、大化の改新も定着していない時期に、何でそこまで遠征して行く必要があったんだろう…って不思議だったのですが、その時期は朝鮮半島の各国(高句麗新羅百済)と濃密なつながりがあったようです。

 それがある程度国内の権力争いに影響を及ぼしていた側面があったようで、乙巳の変蘇我入鹿中大兄皇子一派に暗殺されたクーデター)でも、多少そういった外交関係の影響があったようです。

 オモシロかったのが聖徳太子の外交への関与について取り上げたところなんですが、かつて日本の息のかかった政権があった任那の再興のための朝鮮半島への派兵にかなり積極的だったようで、平和主義者的なイメージについて、どこがやねん!?みたいなツッコミを入れられています。

 マニアックで、読者を顧みない内容じゃないかと危惧しつつ手に取ったのですが、白村江の戦跡を辿るといったかなり細かい内容をカバーしながらも、古代のダイナミズムをありありと感じさせる内容で、かなりワクワクしながら読み進めました!

 

「お金」で読み解く世界史/関眞興

 

「お金」で読み解く世界史 (SB新書)

「お金」で読み解く世界史 (SB新書)

 

 

 ここのところ歴史本にハマっていますが、歴史本って余程画期的な発見か、相当マニアックな内容でない限り、押しなべて通り一遍の史実を並べてしまうことになると思うのですが、独自性を出すためにはどういう切り口で歴史を語るかということが不可欠になるよで、先日紹介した出口さんの世界史本や河合センセイの一連の著書が好例になるんだと思います。

 以前、大村大次郎さんが経済を通して日本史を辿るという著書がかなりオモシロかったので、この本を見つけて飛びついたというワケです。

 おカネを通して世界史を語るということで、政権の盛衰にこういう拝見があったんだ!といった発見はあったものの、定番の世界史の枠組みの中のこぼれ話的に経済について語られいるので、個人的には肩透かし感が否めません。(まあ、自分で勝手にハードルを上げてただけなんですが…)

 通貨や交易の変遷などについても取り上げられているのですが、何分政治の流れや取り上げる国が変わったりで、ブツ切りにされてしまっていて、あまり流れを感じにくくなっています。

 ソッチをメインの流れにしておけば、もっと面白い本になったんじゃないかと思うと、もったいないなぁと言う気がします…誰か、そういう本を書いてもらえませんかね!?

 

40代からの「英語」の学び方/『THE21』編集部

 

 

 『THE21』というビジネス系の雑誌が時折取り上げている「英語」に関する特集をまとめた本です。

 最近、結構中高年層をターゲットにした英語本が出版されるようになってきて、中高年の英語習得のアドバンテージを訴求する本が次第に増えてきています。

 ワタクシ自身も『「英語ダメオヤジ」がこっそり英語を話せるようになる本─仕事で必要な英語力は独学・爆速で身につく!』という、中高年をターゲットにした英語学習本を出版したので、この本の趣旨と言うのは全面的に賛成です。

 どこに中高年に英語学習のアドバンテージがあるのかというと、若年層と違っていろんな可能性を考慮する必要が無くて、目の前に必要なことだけに集中すればいいということで、目的となるところにダイレクトにアプローチすれば、手っ取り早く必要な英語を話せるようになる、というのがその内容です。

 その方法論の裏付けをするのが、ソフトバンクの孫さんの元右腕でご自身も英語学習本を出版されている三木さんや、マネックス証券CEO松本さん、このブログでも著書を数多く紹介した藤巻兄など、名だたるビジネスパーソンの方法論や、ビジネスパーソンの英語習得をサポートされてきた方々によるノウハウも紹介されています。

 ということで、年齢を言い訳に英語習得を諦めるのではなくて、寧ろアドバンテージだと思って英語習得を再開するためにも、英語を習得できなかったことに後悔のある中高年の方は、是非一読してもらいたい本です。

 あ、それでもう一度英語習得に取組もうと思った方は、ワタクシの『「英語ダメオヤジ」がこっそり英語を話せるようになる本─仕事で必要な英語力は独学・爆速で身につく!』も、そういう趣旨ですので、是非手に取ってみて下さい!(笑) 

 

 

仕事に効く教養としての「世界史」II/出口治明

 

 

 ベストセラーとなった『仕事に効く 教養としての「世界史」』の第二段です。

 世界史に疎いワタクシでも、日本史とのつながりをダイナミックな切り口で語られていて、大いに楽しめた前著と比べると、結構マニアックな内容も多くなっていて、個人的にはかなりキツかったです…

 でも、現在の世界情勢での問題につながる「原因」みたいなものも示唆されていて、かなり興味深いモノでした。

 こういう世界史本で、ラテンアメリカやアフリカを取り上げたモノをあまり見たことがないのですが、現在のラテンアメリカ諸国やアフリカの停滞の遠因ともいえる西ヨーロッパ諸国の簒奪や奴隷売買を取り上げられています。

 あと、ISの問題も取り上げられているのですが、アフリカの停滞にしろ、ISの問題にしろ、同じ根っこがあるようで、ある程度経済的に豊かになれば解決するという側面があるようで、鶏と卵の議論っぽいところもあるのですが、中間層を厚くすることで経済の循環がスムーズになるようで、それをキッカケにいろんな問題を回避することができる可能性が高いことを指摘されています。

 そういう意味では、やはり日本の少子化問題というのは、相当由々しき問題なのでしょうか…