酒好き医師が教える最高の飲み方/葉石かおり

 

 

 酒ジャーナリストの葉石さんが、酒好きのお医者さんに尋ねた、医学的な観点から見た“正しい”お酒の飲み方を紹介される本です。

 ワタクシ自身もお酒を飲むのが好きなのですが、ちょっと飲酒量が多いかな、と思いつつもお酒の誘惑には勝てていないのですが、自分自身の飲み方がどうなんだろう…と戦々恐々しながら手に取ってみました。

 結論から言うとやっぱりワタクシの酒量は“適正値”から見るとどうやらかなり多いようで、依存症と言われる人の飲酒量よりギリギリ少ないくらいで、結構ショックだったりします。

 葉石さん自身も随分“適性値”よりも随分多いようで、色んな観点から“抵抗”を試みますが、なかなかウマく行かないようです。

 ただ酒を飲んでから風呂に入らないとか、クスリを飲む時は飲酒後3、4時間後にするといった絶対NGの項目や、脂っこいアテを先に食べることでアルコールの吸収量が緩和されるといった、ちょっとしたヒントも紹介されていて参考になります。

 最後に、少しでも長く飲酒をたのしめるようにするために、“適正値”を意識した飲酒を心掛けましょうね、というイタイ一撃を受けて、撃沈です…(笑)

 

世界一孤独な日本のオジサン/岡本純子

 

世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

 

 

 コミュニケーションの研究が専門である方が、コミュニケーションが不得手な日本のオジサンたちの「孤独」を語ります。

 冒頭で「孤独」は肥満よりも過度の飲酒よりも健康を蝕むリスクが高いということを指摘されています。

 欧米諸国では既にそういったリスクを認識して高齢者の孤独への対策を講じており、特に男性向けにコミュニティへの参加を促す方策が重視されているようです。

 ただ日本においてはそういう対策自体が遅れているのに加えて、私生活を犠牲にしてまで会社に奉公した挙句、定年退職した途端に社会とのつながりが切れてしまい、その後別のつながりを作ろうとはせずに引きこもりになってしまう高齢男性が多いということです。

 そうやって奥様の負担となる“濡れ落ち葉”の問題もよく指摘されていますが、奥様がいるうちはまだマシで、不幸にも奥様に先立たれてしまったり、離婚してしまったりしてホントの一人になってしまうと、かなり悲惨な状況になるようです。

 だから40~50代のうちに、いくらその時の仕事が忙しいといっても、退職後にどうやって社会とつながりを持つようにするかをデザインし、それに向けた準備をすることの重要性が極めて高いようなのですが、なかなか先を見据えてそういう行動をする人は少ないようです。

 そういう人こそこの本を読んで「孤独」の恐ろしさを知っておくべきなのかも知れません。

 

仁義なき幕末維新/菅原文太、半藤一利

 

 

 『昭和史』の半藤さんが俳優の菅原文太さんと“幕末”を語られます。

 副題に『われら賊軍の子孫』とあるのですが、以前も長岡藩士の子孫である半藤さんが書かれた反薩長史観に関する本をこのブログでも紹介したのですが、菅原さんは仙台藩士の子孫だということで、反薩長史観に基づく対談かと思いきや…

 主な内容としては、徳川慶喜西郷隆盛のわかりにくさということと、主に倒幕側で使い捨てにされた“人斬り”達の末路を紹介されます。

 いずれにせよ明治以降現代に至るまで、やたらと賛美される“明治維新”ですが、策謀や血塗られた歴史などキレイごとではすまないようです。

 この対談はそもそも菅原さんのラジオ番組に半藤さんが招かれたことをキッカケにしたモノなんだそうですが、時代劇での活躍もあった菅原さんは歴史への造詣も深か
ったようで、半藤さんと意気投合し、この本の後にも続編的な対談を予定されていたようですが、この対談直後に発生した東日本大震災後、菅原さんが復興支援で多忙となり、残念ながら2014年に亡くなられたことで実現することはなかったということです。

 その対談が実現していれば、もっと深遠なハナシが聞けたかと思うと残念でなりません。

 

日本人は知らない中国セレブ消費/袁静

 

 

 中国人を対象に日本での旅行の情報を提供されている中国人の方が紹介する中国人インバウンド対応の“キモ”です。

 中国人インバウンドに対応する宿泊施設を始めとする日本のサービス業の方が良かれと思って提供するサービスが実は中国人の地雷を踏んでいるケースの紹介などを含めて、如何にして中国人特に優良顧客となるポテンシャルを備えた“プチ富裕層”の満足度を高めてリピーターになってもらうのかという目的について、何をすべきなのかを紹介されます。

 例えば飲食店で氷が入った水を提供して、氷が無くなっていれば、氷の入った水を入れるようにするのがフツーだと思いますが、実は冷たいモノを取ることを避ける中国人がわざわざ氷が解けるのを待っていたところ、氷入りの水を継ぎ足されてガッカリしているとは思わないですよね!?

 ということで、中国人である著者が紹介する中国人の根源的なニーズを把握することで、随分的を得た対策が取れるんではないでしょうか!?

 

その「英語」が子どもをダメにする/榎本博明

 

その「英語」が子どもをダメにする (青春新書インテリジェンス)
 

 

 若年層を中心に心理分析に関する数々の著書で知られる心理学者の榎本さんが英語の早期教育に警鐘を鳴らされます。
 
 これまで学校で長らく英語を勉強してもなかなか英語を実用レベルで話せる人は増えてこないということで、とうとう小学校での英語教育が正式科目となってしまいました。

 しかし榎本さんはこの本で表面上英語が「話せる」ようにする(ホントにそうなるかどうかはギモンだったりするのですが…)ために、ちょっと英語の学習開始年齢を早めることで犠牲になってしまうモノの大きさを嘆かれています。

 英語を正式科目にすることにより他の科目の学習時間が圧縮されてしまうワケで、そのことが思考力の育成が蔑ろになってしまうことにつながってしまうようです。

 ただ英語をペラペラ話せるようになるよりも、その中身を充実させることの方がずっと重要なんじゃないのか!?ということで、本を読む大学生が著しく減少している中で、
榎本さん自身も普段接する学生の思考力の低下が顕著となっていることを痛感されていて、そちらの強化の方が喫緊の課題なんじゃないかと感じられているようです。

 このままじゃ日本語でも英語でも深くモノを考えることができない「セミリンガル」を大量に作り出してしまうんじゃないかと、空恐ろしい想いのする内容の本でした。

 

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか/中島恵

 

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか ―中国インバウンド54のヒント

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか ―中国インバウンド54のヒント

 

 

 中国人に関する数々の著作で知られる中島さんが「爆買い」以降の中国インバウンドについて語られます。

 タイトルには「日本の老舗」とありますが、それに触れられているのはホンのわずかで、ほとんどは如何にして「爆買い」後の中国インバウンド、特に良いと思ったモノには出費を惜しまない中国人富裕層にアピールして行くかということを紹介されています。

 「爆買い」後も実は中国人インバウンドは増え続けており、「モノ」から「コト」へという消費トレンドの移行についてのメディアでの報道を見られた記憶のある方も少な
からずいらっしゃると思うのですが、そういう表面上の現象だけではなく、特に富裕層は日本のモノやサービスに傾倒する傾向が強いようで、わざわざそんなことのために!?と驚くような動機で来日することも少なくないとのことです。

 だからこそ自分たちの地域の観光資源なんて中国人ましてや富裕層にウケるワケがないと思い込むんじゃなくて、とりあえず中国人が触れているメディアに自分たちの情報
を流そうとすることこそて、中国人富裕層誘致の第一歩となるようです。

 さらには多くの中国人が自国内で馴染んでいるスマホ決済などへの対応を積極的に進めるとか、富裕層が宿泊するにふさわしいホテルを整備するとか、キメ細やかにニーズに対応する姿勢が重要なようです。

 ひと頃中国人白タクが話題になっていましたが、あれも実は(提供する側の意識はともかくとして…)利用する中国人にとっては違法なんて意識はこれっぽっちもなくて、自国での便利なサービスを受けるような感覚で利用しているということで、それを合法的に提供するサービスがあれば大きなビジネスチャンスになるじゃないかと指摘されています。

 国家の施策でどんどん中国人観光客のマナーも向上して来ており、より富裕層を取り込むことでインバウンドをより実り多いモノにしていって欲しいモノです。

 

早慶上智の「なぜ」を見抜く世界史/祝田秀全

 

早慶上智の「なぜ」を見抜く世界史

早慶上智の「なぜ」を見抜く世界史

 

 

 予備校で世界史を教えられている方が、早慶上智の入試問題を通して、世界史のツボを紹介されます。

 早慶上智各大学は、超名門だけに入試問題はかなり難易度が高く、振り落とすと言った意味もあってかなりマニアックな問題が出題されることが多いのですが、ただただ難
易度を上げるためにそうしているワケではなく、出題される研究者の方が自らの“史観”というか研究を立体的に示すような意義もあるようです。

 このブログで何度も世界史の本を紹介していますが、何度も触れていますが、ワタクシ世界史を選択していなかったのであまり知識が無いこともあって、超難関大学の入試なんてキビシイかと思っていたのですが、割と近現代史を中心に紹介されているということもあって、なんとなく聞き覚えのある内容が多くて助かりました。

 キューバ危機や朝鮮戦争などの歴史的な事件の表面的な事象を尋ねるだけではなく、その意義についても触れていることがオドロキで、しかもそれを論述問題などでちゃん
と答える学生って…さすがは超名門の入る学生さんたちですよね!?

 単純に世界史の事件の背景を紐解く読み物としてもオモシロく、素晴らしい切り口の本ですので、世界史に興味のある方…大学を世界史で受験する学生さんにも、是非手に
取って欲しいモノです。