神様のサービス/小宮一慶

 

 

 ひと頃は狂ったように著者ループモードになった小宮さんの著書をかなり久々に手に取ってみました。

 

 小宮さんはサービス業へのコンサルティングのご経験も豊富ということで、この本は主にサービス業における顧客満足についてのモノなのですが、多くの企業が”顧客第一主義”とか”お客様の目線で”ということは言われるのですが、結局はお題目に終わってしまうことが多いということで、如何にして顧客に満足してもらえるサービスを提供できるかということについて語られます。

 

 単純に言ってしまえば、提供する側の都合で考えるのではなく、お客さんの都合で考えるということなのですが、ついつい提供する側としては、目先の手間や、ちょっとしたコストを惜しんだりしがちです。

 

 ただ、そういう提供する側からすれば些細なことであっても、顧客の側からすれば不満が積み重なっていって、やがて多くの顧客はクレームを入れることすらせずに去って行き、提供する側は顧客減少の原因もわからないままジリ貧になっていくということです。

 

 だから常に、局面局面での判断が、自分たちの都合で考えていないか、どっちがお客さんに取って都合がいいかということを考え続けることが必要ですし、そういうかなり負荷のかかる行動が、長い目で見ると事業の繁栄につながるんだということを、経営層から会社全体に浸透させて、従業員全員がそういう行動をとるインセンティブを意識できるようにしなければ、なかなか顧客から見てもナットクできる「顧客第一主義」は成立しないということです。

 

 ただ、あまり多くないながらもそういう企業が存在し、そういう企業はかなりの好業績を残していることから、地味に丁寧にやっていきたいところですよね!?

 

おひとりからのひみつの京都/柏井壽

 

 

 以前、”おひとりさま”を敬遠する京都の飲食店の中で、あまり数の多くない”おひとりさま”でも引け目を感じなくて済む名店を紹介した『おひとり京都の晩ごはん』を取り上げましたが、今回はコロナ禍の京都において、”今のうちに”ひそやかに楽しんでおきたい「知られざる京都」を紹介した本です。

 

 以前では、インバウンドが行き過ぎて、京都市街がパンクしてしまいそうなほどに観光客が溢れて、市民生活にも支障をきたすほどのオーバーツーリズムぶりだったということですが、コロナ禍で、ツーリスト人気ナンバー1の伏見稲荷大社ですら、かなり余裕をもって観光できるような状態なんだそうで、コロナ禍が落ち着いてインバウンドが復活する前に、密を避けて物静かに”知る人ぞ知る”京都を楽しんでは!?というご提案です。

 

 とは言っても、ほとんど馴染みのないマニアックなところばかりではなく、哲学の道などの有名な訪問先のマニアックな愉しみなど、観光客が少ないうちに楽しんでおくべきこともあって、参考になります。

 

 モチロン食通の柏井さんならではのグルメも含まれているのですが、いわゆる観光客向けの店が無いのはモチロンなのですが、言ってみれば京都の人の普段遣いとよそゆきの店のちょうど間くらいの感じの店の紹介が多くて、非常にそそられます。

 

 特に、京都の洋食屋さんとか餃子とか、意外なセンの紹介が多いのが個人的には非常にヒットです。

 

 通訳案内士に登録して、その翌週に緊急事態宣言が発令されたもんで、全く案内士としての活動をしないままのワタクシなのですが、今のうちにこういうマニアックなモノも含めて京都を勉強しに行かなくては!

 

世界史に学ぶコロナ時代を生きる知恵/出口治明、鹿島茂

 

 

 コロナ禍以降、感染対策やアフターコロナの世界について歴史から学ぶ姿勢を再三提唱されている出口さんですが、こちらの本はフランス文学者の鹿島茂さんと感染症に触れた過去の文学などを通して、感染症対策とコロナ後の世界を占った文芸春秋での対談をまとめたモノです。

 

 コロナ禍の蔓延にまつわる報道では、行き過ぎたグローバリズムが世界的な感染をもたらしたというネガティブなものも見られましたが、お二方はそのことについて、コロンブスアメリカを”発見”した際に感染症を持ち込み、ネイティブアメリカンに壊滅的な打撃を与えた事例を紹介していますが、確かにそういう弊害はあるものの、そういう現象は、ある意味必要悪であり、地域間の交流の拡大が人類の繁栄を支えてきたという側面があり、江戸時代の鎖国の経験からかとかく閉鎖的な方向に向かいがちな日本人が、コロナ後にそういう方向に向かってしまうことに警鐘を鳴らされています。

 

 アフターコロナの社会について、日本の就業環境やライフスタイルなどあらゆる側面に変化をもたらす可能性について触れられているのが興味深く、女性がパートナーになる男性を選ぶ場合に、これまでだと仕事ができておカネを稼げる男性を選ぼうとしていたのに対し、在宅勤務や週休3日など、家で過ごす時間が長くなるとキチンと家事を担えるような人を選ぶようになるんじゃないかとか、という観点がオモシロかったです。

 

 また、通勤負荷の軽減や就業時間の短縮による副業の活性化なども期待でき、そのことが複眼的な人材を育成する可能性にも指摘されており、アフターコロナではそういう意味での活性化を促すような状況を期待したいところです。

今すぐできる体質改善の新常識/小山内博、高木亜由子

 

 

 元々、朝食を食べずに2食で体質改善を図るということを提唱されたことで知られた方が、様々な体質改善の手法を地域の保健師さんと実践されていたことについて紹介すべく企画された本のようですが、途上で提唱者である小山内先生が亡くなられて、それに共鳴されたライターの方が執筆を引き継がれたモノのようです。

 

 個人的には、単身赴任中に「一日一食」や「糖質制限」といった手法で血圧を安定させようとして、一旦はある程度の成果があったのですが、途上でコロナ禍にあい、自宅に戻って、すっかりそれらの取組を放棄してしまって、体重も血圧も元の木阿弥に戻ってしまったところを、正式に単身赴任が解除されたのを機に、ある程度「一日一食」や「糖質制限」の要素を取り入れた生活を再開することで、在宅勤務の1年ですっかり増えた泰淳と血圧を何とかしようという取り組みの一環で手に取った次第です。

 

 ただ、この本では「朝食抜き」のライフスタイルについてはホンのちょっと触れられているだけで、それ以外の体質改善の手法が主となっています。(泣)

 

 その体質改善の手法というのが、冷水浴による感染症への耐性の向上ということで、特に先入観のない子供のうちに取り入れておけば、かなり風邪をひきにくい体質になると同時に、アレルギー体質の防止にも役立つということですが、ある程度成長してから取り入れるのは結構大変のように思えます…

 

 もう一つは体幹の強化で、こちらは割と高齢の方に勧められていることが多いようですが、そのことであちこちの凝りが軽減されて、腰痛や肩こりの防止にもつながるようで、地域としてそういう活動をしていると医療費の軽減にもつながりそうなんで、自治体単位で取り組んでみるのも一計かもしれません。

世界史を創ったビジネスモデル/野口悠紀雄

 

 

 かつて『「超」整理法』などの著書で一世を風靡された(まぁ、それも30年近く前の話なんで、覚えている人も少なくなっているかもしれませんが…)野口センセイが、ローマ帝国や、ポルトガル~スペイン~大英帝国の海洋国家群の国家戦略を”ビジネスモデル”という観点から語られ、さらにはAT&TIBMなどのITの創成期からGoogleに至るまでのIT企業のビジネスモデルと通じ合うところについて語られています。

 

 確かに、ローマ帝国にせよ、海洋国家群の帝国主義的な活動というのは、ある意味拡大戦略と、出先の経営という意味で、かなり現代の企業経営の戦略~オペレーションと通じ合うモノがあるんだなあ、ということをこの本を読んでいて思い起こさせられますが、そういうところって言われてみれば当たり前なところがあって、如何にして組織や人を動かすかということは共通のところなのかも知れません。

 

 これら3つに、一見脈絡はなさそうなのですが、精緻な戦略設計とオペレーションの連携というところでかなりの共通点が見られます。

 

 またこれらの興亡という意味でもかなり重なり合う部分があるようで、結局は一度上手く行った成功法則というモノに拘泥してしまうというのは、いくら歴史の教訓として学んでいたとしても、そこに陥ってしまうというのが皮肉だな、と感じます。

 

 昨日の出口さんの『歴史を活かす力』ではないですが、常にそういう足を掬われるような事例が無いのかということに目を凝らしていなければならないようですが、そういうネガティブな発想でもマズいんでしょうしねぇ…

歴史を活かす力/出口治明

 

 

 多くの歴史にまつわる著書を執筆されている出口さんですが、この本は如何にして歴史から教訓を得るかというところにフォーカスされ本です。

 

 コロナ禍の状況の中で、歴史上のスペイン風邪やペストのパンデミックの状況から教訓を得ようということが言われるようになっていますが、出口さん自身もAPU学長としての対応について、歴史から教訓を得て実行したことを冒頭でおっしゃっておられて、『コロナ後の世界を生きる』の中でも、如何にしてコロナ禍の収束に向けた教訓を歴史から得るかということを語られています。

 

 ただ、こういう非常事態だからと言うワケではなくて、『カベを壊す思考法』の中で「タテ(歴史)・ヨコ(世界)の軸」という思考のフレームワークを提唱されていたように、人生のあらゆる側面に歴史の教訓というモノを役立つようです。

 

 ただ、通り一遍の通史を知っているだけでは、なかなか自分が直面している問題に対する解決策のヒントを得ることは難しいようで、どういう観点で臨めば歴史から教訓を抽出できるかということについて、80の質問に答えるというカタチで示されています。

 

 昨今、世界のいたるところで排外的な風潮が広がっていますが、その点について、徳川幕府鎖国政策が長期的な閉塞感を通して、経済的な規模の縮小につながり、ひいては飢饉の遠因にもなったということを指摘されており、国際的な交流の重要性を強調されています。

 

 出口さんは、歴史上においてグランドデザインを描いて実行しようとした人物を高く評価されているということなのですが、政治家に取ってそういう資質が強く求められるということもありますし、そういう史観を持つことがバランスのとれた思考につながるんじゃないかということを感じさせられます。

 

 かなり歴史についての見方が変わるんじゃないかと思いますので、是非一読の程を!

完全版社会人大学人見知り学部卒業見込/若林正恭

 

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)
 

 

 そんなに熱心にお笑いを追いかける方ではないんですが、オードリーの若林さんはかなり前からちょっと気になっていて、以前ワタクシが密かに支持していた南沢奈央との交際報道が出て、なお気になったのですが、著書を見かけたので手に取ってみました。

 

 自称「人見知り」ということなんですが、「人見知り」がお笑い芸人ってなんやねん!?ってワタクシも思いましたし、世間の多くの人がそう感じると思うのですが、周辺の方々からすると、自他ともに認める「人見知り」なんだそうで、そういうキャラでもお笑い芸人としてそれなりの成功を収めることがあるんだ…ということが、まず新鮮でした。

 

 かなり若い頃から、「人見知り」だったようで、その上、ご自身によるとかなり”トガッた”キャラだったようで、周囲、特に目上にあたる人々がが押しつけようとする同調圧力的な”常識”に「それって、おかしくないっすか!?」みたいな反応をして、イタイ目に合うという感じだったそうで、敢えて周囲に溶け込もうという努力をするタイプではなかったということです。

 

 で、この本は雑誌の連載で、徐々に「人見知り」を克服していく過程をご自身の執筆で追って行こうという趣旨だということですが、そういう不器用な部分をみるとずっと昔の自分自身を見ているようでヒリヒリした感覚を思い出します。

 

 売れていくにつれて次第に、周囲ともそれほどの軋轢やビミョーな空気を生むこともなく交流できるようになっていますが、本質的なところはあまり変わっていないように見える所に好感を覚えたりもします。

 

 とかく、器用に世の中を渡っていくことばかりがもてはやされるところがある昨今ですが、こういう風に深い思索を巡らしているというのも、また、ある意味貴重な存在なんじゃないかと思いますが…