米韓同盟消滅/鈴置高史

 

米韓同盟消滅 (新潮新書)

米韓同盟消滅 (新潮新書)

 

 

 ネット上でも“嫌韓”的なコメントで時折見かけるなぁと思っていたのですが、何と元日経新聞記者でソウル勤務の経験もあると聞いてオドロキでした。

 北朝鮮にすり寄りアメリカの意図を踏みにじり続ける韓国の文在寅大統領ですが、元々彼はバリバリの左派政治家で反米親北思想の持ち主なんで不思議はないのですが、アメリカの“核の傘の下”から離れたいという意図は少なからず多くの韓国人の深層心理にあったみたいです。

 そんな中で韓国が経済的に好調だったこともあって、大きなカン違い…鈴置さんはそういう韓国人の状況を、韓国の評論家が「中二病」と表現されたのを引用されていますが…で、朴槿恵元大統領が米中を手玉に取って“仲介”できると思い込んだことがボタンの掛け違いの始まりだとおっしゃいます。

 それが元々反米親北思想の文大統領になって拍車がかかり、北朝鮮への傾倒を加速していった挙句、米朝の対話が決裂の危機にありアメリカからも北朝鮮からも相手にされなくなってしまったのが最近の実情みたいです。

 さらには元々朝鮮半島の政権はは歴史上長らく中国の支配下にあったこともあり、アメリカの風下にいるよりも中国に従う方が民族的にも“座り”がいいといった側面もあるようです。

 朴槿恵追放で保守勢力が壊滅的な打撃を受け、左派の暴走を食い止めようとする勢力もなく、比較的裕福な人が多いとされる親米的な思想を持つ人たちは、国を正しい方向に導こうとするよりも、国を捨てて逃げ出そうとするという発想になり、雪崩的に北朝鮮に飲み込まれても不思議ではない状況みたいです。

 ちょっと言い過ぎ!?と思わなくもないのですが、これがホントだとするとあと10年後位には韓国は無くなってるかも知れません…

 

夫婦という他人/下重暁子

 

夫婦という他人 (講談社+α新書)

夫婦という他人 (講談社+α新書)

 

 

 『家族という病 (幻冬舎新書)』で家族の在り方に一石を投じた下重さんが、今回は「夫婦」の在り方に一石を投じます。

 下重さん自身は、大恋愛をした相手と敢えて結ばれず、結婚するつもりもなかったところ、ふとしたことから結婚をし、つかず離れずの関係を保たれてきたということのようです。

 その上で未だ多くの夫婦間の関係が女性の犠牲の下に保たれている状態について、そのことが家庭での不和のにつながっているということで、もっとそれぞれの“個”が尊重されるべきなんじゃないかということです。

 その上でキャリア的な充実もさることながら、自由に恋愛もしてしかるべきではないかということにまで言及されています。

 日本人男性はワタクシ自身を含め、ヨメに甘え過ぎのところが多分にあると思いますが、ちょっとこういう本を読んでピリッとした方がいいのかも知れません。

 

僕たちは14歳までに何を学んだか/藤原和博

 

 

 リクルート勤務を経て、民間出身では初めて公立中学の校長となったことで知られる藤原さんが、近年脚光を浴びる若手の論客4人とのインタビューと対談で構成された本です。

 その4人というのが、キングコングの西野さん、SHOWROOMの前田さん、DMMの亀山さん、そして堀江さんという豪華版で、こういう“突き抜けた”人たちが14歳の時にどういう「学び」があったのかを検証するといった主旨になっています。

 公立中学校で校長をされた後も様々なカタチで教育に携わっている藤原さんですが、一貫して「生きていく力」をどう養うかということを重視されていますが、基本的に学校では“一定の品質”の生徒が出来上がってくる一方、“突き抜けた”才能を育てることは意図していないということもあって、こういう人たちの“学び”をトレースすることで“突き抜け”方を検証できるのではないかということで、そのために藤原さんがこれまでの著書で再三おっしゃっている「ナナメの関係」を体験して「根拠のない自身」を手に入れることを指摘されています。

 特に学校で身に付けることを意図されている「頭の回転の速さ」≒「情報処理力」だけでなく、「ナナメの関係」を充実させることで、「アタマの柔らかさ」≒「情報編集力」を強化できるということで、そのことが“突き抜け”につながる可能性が高いようです。

 ただ、せっかく豪華なメンバーを集めているのに、インタビューのパートが短く、もうちょっと藤原さんとの丁々発止のやりとりを見たかったところですよね…

 

今こそ、韓国に謝ろう/百田尚樹

 

 

 バリバリの嫌韓論者の百田さんが韓国に謝る!?ということで話題になった本を手に取ってみました。

 あからさまな韓論論者の本は、あまりに偏った見方が多いので手に取らないようにしていたのですが、何で「謝ろう」と言うことになったのかというレトリックを弄しているのかということと、日本の韓国における植民地経営がどうなっていたのかということに興味があったので手に取ってみました。

 嫌韓論者達が韓国のインフラの基礎的な部分は日本が作ったモノだということで、そういう部分にもっと感謝すべきだということを主張されているのですが、この本でもそういうところに触れられていていて、日本は当時の欧米列強が植民地経営においてひたすら搾取に専念してたのとは異なり、インフラや教育制度の整備を積極的に行い、日本の国力の増強の一助にしようとしたようです。

 ただこの本で百田さんは「韓国が望んでもないのにおせっかいに」もやったしまったという言い方をされており、そんなに文句ばっかりいうんだったら全部チャラにするからつきまとわないでくれ!と言わんばかりの感じです。

 さらには韓国人が主張する「七奪」を一つ一つこの根拠のないことだと指摘されています。

 持ち上げては落としてと韓国人を小バカにしたような態度が最近の韓国のやり方にかなり疑問を感じるワタクシにとってもかなり不愉快で、予想はしていましたが、何ともイヤな読後感の本でした。

 

メルケルと右傾化するドイツ/三好範英

 

メルケルと右傾化するドイツ (光文社新書)

メルケルと右傾化するドイツ (光文社新書)

 

 

 「右傾化するドイツ」とありますが、それに触れられているのは冒頭のホンの少しで、ほぼ全体としてはメルケルの伝記っぽい内容になっています。

 フランスを始めとするヨーロッパ各国における極右政党の台頭やBrExitの引き金となったと言われるのがメルケルによるドイツでの難民の積極的な受け入れですが、この本でメルケルの経歴を見ていると、頑なに難民受け入れの政策を維持している理由がわかるような気がします。

 メルケル自身は東ドイツで育ったのですが、父親が西ドイツから派遣された牧師ということで、一般的な東ドイツの市民と比べるとある程度は優遇され旅行の自由もあったということですが、とは言え“西側のスパイ”みたいな見方をされることもあって、当時の東ドイツ社会からすると、ある意味過激な思想を持ちつつも、弾圧を避けるために慎重に身を処するといった姿勢も同時に兼ね備えており、その辺りのバランスがその後の政治家としての成功要因にもなっているようです。

 また自身が抑圧された中にあったということが難民への積極的な支援につながっているという側面もありながら、状況に応じて、政治的弾圧の度合いが低下してきた国からの難民の受け入れを中断するなど、臨機応変な対応が注目されます。

 第4次政権では連携調整が難航し、よりキビシイ立場に追い込まれたメルケル氏ですが、フランスの弱体化やBrExitなどの問題でEUをリードする存在がメルケル氏以外に見当たらないこともあり、あと少し踏ん張ってもらいたいものです。

 

2025年の銀行員/津田倫男

 

2025年の銀行員 地域金融機関再編の向こう側 (光文社新書)

2025年の銀行員 地域金融機関再編の向こう側 (光文社新書)

 

 

 銀行勤務経験もある著者が見通す銀行の未来像です。

 ワタクシ自身が子どものころからすると銀行も随分減ったなぁと思うのですが、それでもイギリスなどと比べると桁が1つ違う位多いということで金融庁はまだまだ合併や経営統合を促す動きに余念がないようです。

 内容としては、そんな中で銀行員としてどう生き抜いていくかということで、正直銀行勤務の方以外にはあまり役に立ちそうにはない感じです。

 ワタクシが就職した数十年前には、銀行は選りすぐられたエリートの就職先だったワケですが、フィンテックの進化による金融情勢の激変を受けて、メガバンクであるみずほ銀行が数万人単位のリストラ計画を明らかにしたことの影響もあるのか、最近では就職先として銀行を忌避する学生も少なからずいるようで、相対的な地位の低下に驚くばかりですが、相次ぐ統合で大銀行に飲み込まれた日には、その後一生浮かばれないかもしれないと思うと、なかなか敢えてそのリスクを冒そうと思う程のメリットが感じられないんでしょうね…

 そんな中で銀行員も堅実なだけでは生き抜いていくことは難しいようで、企画力だったり実行力だったり、従来の銀行員のイメージとは異なるモノを求められていくようです。

 挙句の果てに勤務先の銀行の見切り方も紹介されていて、外からの印象以上にずっとキビシイ状況にあるようですね…

 

誤解だらけの人工知能/田中潤、松本健太郎

 

 

 ここ2、3年メディアなどでAIが取り沙汰されることが急激に増えて、AIに関する本も数多く出版されていますが、そもそもAIとは何なのかということを正面から捉えた本が少ないということと、「AIが仕事を奪う」といった扇動的な内容に終始したモノも少なからずあるということで、データサイエンスの専門家でIT関連の著作も出版されている方が、AIの開発に携わっている方の専門的な知見をかみ砕いて一般人にもわかるように説明しようということで、

 ・人工知能とは何か?
 ・ディープラーニングとは何か?
 ・人口知能はどのように進化して、これからの産業にどの
  ような影響を与えるのか?
 ・私たちはどのような働き方・生き方を選べばいいのか?

ということを紹介されています。

 そもそも人工知能とは何かということについては、未だAI自体が急激な進化の途上だということもあって、定義をしようとすること自体にあまり意味はないということなんですが、この本が書かれた2018年時点で敢えて端的な“定義”をしようとするのであれば「人工知能ディープラーニング」であって、ディープラーニングとは“分類”をすることだということです。

 ただ人間の知能のようにどんな分野にでも幅広く対応できるというモノではなくて、ある特定の分野について膨大なデータの学習をさせた上での対応に止まるということと、なぜそのような判断をしたかということについての“理由”のトレースができないということで、説明責任が求められる分野での適用は現状では難しいようです。

 ただ2045年と言われている、AIが人間の知能を超えるというシンギュラリティに向けた進化は継続中であり、特定の分野に特化したAIが人手に代わる流れは止められないということです。

 その上でこの本では人間は労働から「解放」されるという表現をされているのですが、労働を貨幣に変換するという産業革命以降の価値観が最早AI時代には合わなくなっているということで、根底から見直す必要があるようで、ベーシックインカム導入の必要性についても言及されています。

 さらには人間の価値は知能だけなのか、という問いを投げかけ、今後は「信用」の価値がより重視されるようになるということを指摘されています。

 AIが何モノで、それが何をもたらすのかということについて、これほど端的にモレなく紹介されている本は今まで見たことがなく、これまで紹介してきたAI本の中では圧倒的にナンバーワンと言えるでしょう!