最強の働き方/ムーギー・キム

 

 

 グローバル・コンサルティングファームで世界中の優秀な人々と働いてこられた著者が、トップクラスの人材になるための77の「働き方」を紹介した本です。

 そのトップクラスの、というのは別に一流大学を卒業しているとか、大企業に勤務しているとかというワケではないんだけれども、こういうことを習慣としていればトップクラスの人材になれる、というモノを紹介されています。

 対象となる読者もグローバルビジネスの場でバリバリと活躍されている方から、地方の中小企業で悶々としている人まで、あらゆる「働く人」に手に取ってもらいたいということで「雲の上の理想」を語るのではなく「坂の上の現実」を語られたということをあとがきで紹介されています。

 ということで最初の方には「時間を守る」という、おおよそほとんどの社会人がフツーに守っているであろうことも含まれていて、章が進むにつれて段々と要求事項のレベルが上がっていくようにデザインされていて、高度なビジネススキルも無数の基本的なスキルをベースに成り立っているんだということを思い返させられます。

 最終的には「やりたいこと」×「できること」×「社会に要請されること」が一致したところで働けるようになることを目標とします。

 正直、個々のスキル項目はビジネス系の自己啓発本でありがちな内容なのですが、それらをこういう構成で提示したこと、時にマジメに、時にユーモラスに、グイグイ読み進められるように構成されたことで、類書から群を抜いた存在になっているんじゃないかと感じます。

 あらゆる働く人たちがターゲットになっているとおっしゃいますが、やっぱりこれからを背負っていく若い人たちに是非手に取ってもらいたいと感じる本です。

 

探すのをやめたとき愛は見つかる/バイロン・ケイティ

 

探すのをやめたとき愛は見つかる―人生を美しく変える四つの質問

探すのをやめたとき愛は見つかる―人生を美しく変える四つの質問

 

 

 例えば、相手に自分の好意を受け入れてほしいと思ったときに、無理強いとは言わないまでも、相手にそういうことを強いてしまった時に、一旦カタチだけは思い通りに行ったとしても、ホントに自分が満足するようなモノだったのか、というと必ずしもそうではないんじゃないか?ということです。

 また、例えば夫婦間などで、相手に自分の考えを押し付けようとすることがあると思うのですが、そういうときも不承不承相手を従わせても長い目で見ると修復しがたい軋轢につながってしまうこともあります。

 そういう時のために、基本的には相手を自分の考えで縛ることはできないんだ、ということを段々と、「~すべき」みたいな自分の考えを和らげて、柔軟に対応できるようにするワークを中心に構成された本です。

 ワタクシ自身もそういう傾向が強いのですが、「べき」論ってホントにメンドくさくて、自分でもイヤになります…

 

人の心を動かす文章術/樋口裕一

 

人の心を動かす文章術

人の心を動かす文章術

 

 

 冒頭で「日本一大量に下手な文章の添削」をされていると豪語されていて、そういうサンプルとその添削という構成の本です。

 冒頭に紹介されている小学校の低学年レベルのサンプルを紹介されているのですが、その後実際に添削をされている文章は、そこまでヒドくないので、もっと低いレベルからの添削を見たかったと、あまり文章力に自信のないワタクシなどうぁ思いますが…

 添削前の文章も、どこがダメなの?と思う程の文章もあるのですが、実際に赤が入ると驚くほど文章が立ってくるというか、アタマに入り易くなるのはオドロキでした。

 ワタクシもこんな風に自分の書いた文章を晒しているので身に詰まされるところがあるのですが、どうしても自分の世界だけで書いてしまうと、独りよがりな文章になってしまうところが多くて、ちゃんと推敲するというか、ただもう一度見直すだけでも、いい文章を書く上で有効な方法だということには改めてナットクでした。

 

それでもなお、人を愛しなさい/ケント・M・キース

 

それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条

それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条

 

 

 この本、結構自己啓発本の古典のようで、神田昌典さんや勝間和代さんなんかも推薦されているようです。

 この本は、著者のキースさんがハーバードの学生だった時に書かれた「逆説の10ヵ条」というものに基づいており、あまりに格調高い内容なので、引用したマザーテレサの言葉として広まっていったというエピソードまであります。

 善行を積むことや、成功すること、他者に貢献するといったことが、それにより妬まれたり、付け込まれたり、足元をすくわれたりと言う事態になることも少なからずあるのですが、それでもなお、善行をつづけるよう励ますという趣旨です。

 確かにいいことをして、それが原因で不利益を被ったら、バカバカしくなってやめてしまおうと思ってしまうかもしれませんが、それで善行がなくなったら、その不利益はさらにはかり知れません。

 だから、逆境にメゲずに善行を積み続ける…それこそが真の善行となるんだな、ということで…

 

「AV女優」の社会学/鈴木涼美

 

 

 著者が東大大学院の修士論文として書かれたモノをベースとした本です。

 これまで社会学に興味を持って、このブログでも何冊か社会学の本を紹介しているのですが、何か「科学」としての社会学にしっくりこないものを感じてるのですが、この本もそういう典型的なパターンにハマってしまっている気がします。

 実は後に、ご本人がAV女優として活動された経験をベースに書かれたということを明かされているのですが、そういうフィールドスタディを元に書かれているところと、概念として消化しようとしているところにつながりが感じにくいところが、社会学の“パターン”なのかな…と言う気がします。

 ただAV女優になるのは、スカウトされたからとか偶然に支配された部分が大きいのに対し、様々な葛藤を超えて、AV女優であり続けるためには自己定義のために饒舌になるというのは興味深いところがありました。
 
 できたら、修士論文を捨てて、ドキュメントとして書かれていたらもっと面白い本になったんじゃないかという気がするのですが…

 

 

誰も知らない男/ブルース・バートン

 

誰も知らない男 なぜイエスは世界一有名になったか

誰も知らない男 なぜイエスは世界一有名になったか

 

 

 日曜の礼拝が大嫌いだった著者が、キリストの人間的な側面に触れて魅力を感じたことからかかれた本だということで、何とこの本1924年に初版が出版されたということで、日本では『イエスの広告術』というタイトルで1984年に翻訳本が出版されたということですが、改訳を機会に現代に近いこのタイトルになったということです。

 池上彰さんが世の中の動きの元となる考え方を知るためには宗教のことを理解しておいた方が良いと再三おっしゃられていて、推薦図書に挙げられていたので手に取った次第です。

 どうしても宗教の神話と言うと神格化・偶像化にチカラを入れてしまって、あんまりオモシロくないモノになってしまうことが多いですが、この本が紹介する「人間イエス・キリスト」は預言者でありながら、教義の理想と周囲の俗な欲望…特に彼らの弟子が、キリストが国家を治めて自分たちが重臣となる皮算用をしていたのはオドロキでした…との矛盾を飲み込んで布教を進めるところが人間臭くてリアリティを感じました。

 そういう矛盾を超えて如何に布教を進めるかというところに現代(書かれたのは1924年なんですが、それでも今なお…)のビジネスにも通じるということで当初の日本語訳のタイトルが「広告術」となったのかもしれませんが、広告って言ってしまうとウスッぺらに聞こえてしまうので、コッチの方がいいかな、という気がします。

 

続・下流老人/藤田孝典

 

続・下流老人 一億総疲弊社会の到来 (朝日新書)

続・下流老人 一億総疲弊社会の到来 (朝日新書)

 

 

 『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)』の出版から一年半、改善しない
状況を紹介されています。

 その後の状況とともに、新たな実例も紹介されているのですが、続編で一番強調されているのは、国の無策ぶりです。

 前著でも触れらいたのですが、元々国の支援の政策の「言って来て呉れれれば、助けてあげますよ」という「待ち」の姿勢が、施しを潔しとしない日本人の気質にそぐわないことを指摘されていましたが、それに加えて、どんどん支給のハードルも挙げているということで、どんどん下流老人を量産する状況になっているということです。

 うーん、よっぽどの僥倖がなければ、大多数の人は「下流老人」になることを免れられないのでしょうか…