女子のキャリア―“男社会”のしくみ、教えます (ちくまプリマー新書)
- 作者: 海老原嗣生
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10
- メディア: 新書
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ここのところ延々と常見さん推奨のジェンダー論関連の本を読み続けていますが、この本が一番プレーンでパランスが取れている気がします。
主に会社における女性の地位の変遷を取り上げられていて、モチロン今の状況が女性に取って理想的なワケではないんですけれども、諸外国の女性の社会進出のプロセスを見ても、日本は順調とは言えないまでも、着実に進展しているとおっしゃいます。
というのも本格的に会社における女性の待遇の改善のスタート地点となったのが1999年の雇用機会均等法の施行で、そこからまだ十数年しか経っていないということもあって、会社でキャリアを志向する女性の数自体がようやく増えてきたという状況で、徐々に会社の制度も、そういうキャリア志向の女性を受け入れる体制を整えつつある状況だということで、現在は雇用自体は増えてきているモノの、管理職の女性自体が少ないということで、雇用の「質」がまだ追いついていないようですが、ただそれも時間の問題だとおっしゃいます。
そんな中でひとつ海老原さんが警鐘を鳴らされているのが、一般職が従事する「庶務」的な仕事の軽視なんですが、どっちかと言うとこちらの方が女性にとって「変えの利かない」仕事ができる可能性もあるということで、やたらと資格や語学に走るよりも、仕事のプロセスに精通する方が、社内でのキャリアを深める意味でも、転職をしようとする上でも「使える」スキルになる可能性が高いと指摘されています。
あとは、選択の幅を広げるという上で、子供を産む時期の選択肢を広げるという意味で、35歳位までに出産しないと…という社会的な認識に、あまり科学的な根拠はなく、統計的に見ても40歳代で出産することが荒唐無稽なことではない、ということを指摘されています。
社会の環境をもっと女性のキャリアを高めるのにいいモノにしなくてはならないのはモチロンなのですが、そういう他力本願だけでなく、目の前の状況に不満を覚えるばかりでなく、柔軟な対応を志向することで、キャリアも結婚も出産・子育ても両立されることができる可能性があるようです。