座右の書『貞観政要』/出口治明

 

 

 出口さんが座右の書とされていて、徳川家康も参考にされていたという『貞観政要』を解説された本です。

 『貞観政要』というのは、中国唐代の2代目皇帝の太宗の言行を記録した本なのですが、大帝国の基盤を築いた稀代のリーダーの言行からリーダーとしての要諦を学ぼうというのがこの本の主旨です。

 よくリーダーシップの類型みたいなことがリーダー養成研修なんかで語られますが、この本を読んでいると、そういうスタイル論が重要なんではなくて、如何に誠実に周囲の人々や統治する人々に対応するのかということなんだと感じます。

 印象的だったのが、皇帝と家臣というのはただ単に“機能”であって、身分の上下を表しているワケではなく、周囲の人の様々な意見に広く耳を傾けて、耳の痛い指摘であってもキチンと受け止める必要があるということに始まり、周囲の人たちが十全にその能力を活用することができるような状況を整えることが重要だという指摘でした。

 言ってみれば、透明なガラスみたいになれるように、とおっしゃられているような気がしました。