あなたの会社その働き方は幸せですか?/上野千鶴子、出口治明

 

 

  出口さんが『おひとりさまの老後』などの著書で知られるジェンダー論の大家上野千鶴子先生と日本の企業における女性の働きにくさなど、日本企業における労働環境の問題を語られます。

 

 出口さんはこれまでの著書でも再三、戦後のアメリカへのキャッチアップを意図した大量生産型の経営スタイルの、昨今露わとなっている制度疲労について指摘されていましたが、上野先生のジェンダー論の観点から見ると、より鮮明にその限界が露呈しているようです。

 

 女性の活用の遅れや、非効率性がもたらす長時間労働などによる生産性の低さが指摘されて久しいのですが、未だ「同一労働・同一賃金」の原則が遅々として進んでおらず旧時代的なオジさん方が牛耳る大企業では、才能のある若年層、特に女性は十全に能力を発揮することが難しいようです。

 

 印象的だったのが、上野先生がご自身の職歴について語られていた章で、上野先生ってかなりトンガった印象を持っていたのですが、学会という狭い世界で生き抜いていくために、相当周囲とバランスを取られていたということで、ご自身の主宰するゼミでも企画力のみならず社会人として生き抜いていくための根回し的な動きの重要性を教えられているというところで、かなり意外だったのですが、ツブされずに才能を十全に発揮するためには今の日本企業ではそういう動きが不可欠のようです。

 

 そういう才能のある人が本来不要な気遣いを強いられるというところで、その分生産性の向上が阻害されるのは間違いのないところなはずで、そういう環境を打破するような経営者がでてこないもんですかねぇ…