以前紹介した『世界史の中の日本史』での対談が印象的だったお二方が今回は同様の趣旨で明治維新を語られるということです。
最近は「反薩長史観」に関する著書も目立ってきた『昭和史』の半藤さんなのですが、世界史関連で多くの著書がある出口さんと再びタッグを組まれるということで俄然期待が高まったのですが、世界史と絡む部分はアメリカがなぜあの時期に日本に開国を迫ったのかというところと、岩倉使節団の意義、太平洋戦争の遠因としての日露戦争の位置づけということろ意外は希薄で、ちょっと編集者の売らんかなのサモシい根性がもたらしたサブタイトルなのかなと…
ただ明治維新以降のグランドデザインの源流を日米和親条約締結時の老中阿部正弘に求めるところや「日本人」たる意識のパイオニアとして勝海舟を位置づけて、その思想を受け継いだ西郷隆盛や坂本龍馬がその後の維新の原動力となったことなどを興味深く読めます。
ただ『世界史の中の日本史』と比べると出口さんが半藤さんに師事するというスタンスを取っておられていて、世界史的な観点からもっとガシガシツッコんでくれてたら、もっと迫力のある本になったんじゃないかと思うと、ちょっと残念な気のする本です。