立ち上がれ日本人/マハティール・モハマド

 

立ち上がれ日本人 (新潮新書)

立ち上がれ日本人 (新潮新書)

 

 

 2018年に92歳にして再びマレーシアの首相となったマハティール氏が2003年に首相を引退しようとする頃に、日本の出版社に請われて、これまでの論文や演説から日本に関する内容を抽出してまとめた本だということです。

 前回の在任時には“ルック・イースト”という日本の高度経済成長期に範をとった政策を取られていて、敗戦前後の日本に留学されていたこともあり、親日家として知られています。

 そんなマハティール氏が日本は西欧に追従するのではなくて、自己のアイデンティティに忠実に行くべきだという警告を発されています。

 というのも日本は西欧を向いた施策を講じられているのかも知れませんが、アジア諸国は多かれ少なかれ日本の動向を意識しており、その範となるような行動を取って欲しいという想いがあったからで、西欧の猿真似ではなく、アジアとしてのアイデンティティを意識した行動を取って欲しいという想いがあったからのようです。

 この本を読んでいて思い出したのが、孫文1924年に神戸で行った「大アジア主義講演」という当時の日本に発した警告とも言える演説で「日本が西洋覇道の鷹犬となるか、東洋王道の干城となるか」と日本の行く末を憂いたもので、結局孫文の憂慮の通りとなったワケですが、マハティール氏も昨今の日本の体たらくを見通して憂いていたのかも知れません。

 マハティール氏の復活に合わせて、日本もマハティール氏が憧れたような誇り高き姿を思い起こしたいものです。