家族という病/下重暁子

 

家族という病 (幻冬舎新書)

家族という病 (幻冬舎新書)

 

 

 元NHKアナウンサーで現在エッセイストとして活躍されている方の著書です。

 出版された当初ショッキングなタイトルから話題をまいたのですが、ようやく思い出して手に取ってみました。

 下重さん自身父親に反発し、母親の溺愛に辟易されていたということで、所謂「家族団欒」に反発を覚えるタチのようなのですが、実は日本人ほど血縁である「家族」のつながりを重視する民族は少ないようです。

 モチロン家族のつながりというのはその人の人格形成の基盤とも言えるモノであり、重要であることには間違いないのですが、血縁が重視され過ぎるが故に軋轢を生んでいるケースが我々の身近にも見受けられます。

 また仲の良い家族であっても、逆にそれが故に排他的になり、周囲への悪影響を及ぼしているケースもあることを指摘されています。

 この本の最後で、既にこの世を去って永遠に和解する機会を失った父母と兄への“手紙”を掲載されていますが、近すぎるが故に、ほんの少しのボタンの掛け違いが大きな溝を作ることにつながるということをイタイほど思い知らせてくれる本です。