老人をなめるな/下重暁子

 

 

 『家族という病』の下重暁子さんが老人を取り巻く状況をボヤいた本です。

 

 下重さんというと、まだまだ女性の社会進出が困難だった時代から活躍されていたというイメージが強く、勝手にカッコいいおばあさんという印象が強かったのですが、この本では冒頭から、横浜駅のエレベーターが年寄りには早過ぎてスムーズに乗りにくいとか、一定の年齢以降は賃貸住宅が借りにくいとか、電車の中で席を譲る若者が減ったとか、フツー以下の年よりのボヤキが全開で、ちょっと啞然とさせられます。

 

 オマケに、シルバー民主主義が取り沙汰されることについては、長年社会に貢献してきたんだから当たり前でしょ!?みたいな感じで、仕事もしないのにいつまでもエラそうにしているジジイを思い出させます。

 

 こういうのを読んていると、ただ今50歳代中盤のワタクシも歳を取ったらこういうことを言ってしまうのか…とホンキで歳は取りたくはないもんだと思わされます。

 

 どちらかというと、バアさんのボヤキというよりもジジイのボヤキといった方がいいような内容が並んでいるのが、長く社会で活躍された下重さんらしいなぁ、という気はするのですが、『極上の孤独』で自立した姿が凛々しくてカッコいいなぁ、と思っていた下重さんも世間なりの年寄だったのか、と思うとかなり残念な感じを受けたのが正直な感想です。