老いの器量/下重暁子

 

 

 昨日に引き続き下重さんの本ですが、こちらは2020年の出版で『家族という病』での大ブレイク以降の著書です。

 

 この本は『老いの覚悟』『老いの戒め』という2冊の本を再編成したカタチのモノなのですが、当初下重さんは編集者の方から「老い」についての著者を求められた際に難色を示されたそうなのですが、押し切られて執筆するうちに「老い」に対して持っていたネガティブなイメージが払拭されていったということに冒頭で触れられています。

 

 この本では、よくリタイア後の老人を扱った本で、会社員時代の"栄光”に捉われて老害をまき散らしがちなことについての戒めが取り上げられますが、やはり女性が「老い」を書くと、そういう悪弊に陥ることが少ないのか、ほとんど触れられていないのが新鮮だったのですが、やはり女性なりに陥りやすいワナみたいなものはあるようで、過去に恋々とする男性とはカタチは違うモノの、ミョーに自我が強くなるようなことがあるようで、かつ何と言うか”恥”の概念が薄れてくるのか、よくない意味でのいわゆるオバさんが前面に出てきてしまうということです。

 

 そんな中で下重さんは「老い」ということについて、それまでの来し方でどこか肩肘張って生きてきた部分があると思うのですが、そういうこだわりを捨てて、本来の自分へと研ぎ澄ましていって、リラックスして自分らしい生き方に辿り着くというような意味合いもあるんじゃないかということで、そうすることでより自分らしい充実した「老い」の境地に辿り着くとおっしゃっておられます。

 

 「老い」というのが、自分らしさを”研ぎ澄ます”というのは、なかなか斬新な発想で、どうしてもネガティブに捉えられがちな「老い」をポジティブな捉え方ができるようでいいかもしれませんね!?