元経産省のキャリア官僚で、退官後は『報道ステーション』のキャスターとして出演され、政権に批判的な論調で安倍官邸に目の敵にされて降板に追い込まれたことでも知られる古賀さんが経産省在任時に執筆された”霞が関の内幕”です。
官僚は国民のために働いているのではなく、自身が所属する組織の自己保存のために働いているというのはよく言われることですが、古賀さんはそれに真っ向から対立する国家公務員法改正に向けた取組で中心的な役割を果たしていたのですが、それに対して霞が関全体が国会議員を巻き込んで、総力を以って阻もうとする様子を描かれます。
この法案自体は民主党への政権交代が行われる前の自民党政権から審議されていて、民主党政権に移ってから、結局廃案となってしまうのですが、天下りの制限など、一般国民から見ると、至極真っ当な内容であるにもかかわらず、官僚の”生存”に真っ向から対立するだけあって、官僚たちが、それぞれの政権の”ツボ”を絶妙に突いて、法案自体を骨抜きにしようとします。
結局、霞が関であまりに多くの敵を作ってしまったが故に、詰め腹を切らされることになる古賀さんなのですが、その他にも自己の組織を見限って離れざるを得なかった有能な官僚たちについて言及されており、そのことで日本の行政機能の低下を懸念されているのですが、その懸念は、コロナ禍対応における一連の拙劣な政策で顕著現実的なモノとなってしまっています。
かつて”世界最強のシンクタンク”とも言われた日本の官僚組織はこのまま崩壊へと向かっていってしまうのでしょうか…