ビジョナリー・カンパニー2/ジェームズ・C・コリンズ

 

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

 

 昨日『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の紹介文で、フツーの会社はフツーのままでいるしかないのか?ということで〆たのですが、その答えがこの本にあります。

 ちょっと『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』で紹介した、「確固たる企業理念」に基づいた行動をとることと矛盾しているようには見えますが、進む方向を決めてから、それにふさわしい人を選ぶのではなく、逆に人を選んでから、そこで選ばれた人が進むべき道を選ぶ方が「変革」に成功しているということです。

 それって、でも「確固たる企業理念」の範疇にあるから、そういうことができるっていうことなのでしょうか?

 正直、両方読んでみると、コッチより『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の方が、個人的には論旨が一貫していてわかりやすいんですけど…

 

ビジョナリー・カンパニー/ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス

 

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

 

 本来ならコッチを先に紹介すべきだったのかも知れませんが、『ビジョナリー・ピープル』を紹介しましたので、せっかくなのでコッチも紹介しときます。

 ちなみに『年収を上げる読書術』では『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』の方が推薦図書として挙げられていて、世評もソッチの方が高いようなのですが、ちょっと意地になってコッチから紹介したいと思います。(笑)

 ということでこの本の趣旨は、長期にわたって高い成果を挙げている企業に共通する特徴を探るということなのですが、意外なことに目覚ましいアイデアを元に立ち上げた企業とか、カリスマ的なリーダーが先頭に立っている企業が該当することはあまりないようです。

 それよりも企業全体に浸透している確固たる理念があって、社員が一丸となってそれに邁進していくことで、他の企業にはマネのできない優位性を築くことができ、それこそが「ビジョナリー・カンパニー」となる源泉だということです。

 それって途中で軌道修正って、かなり難しそうですよね…フツーの企業はフツーのままいるしかないのでしょうか…

 

影響力の武器/ロバート・B・チャルディーニ

 

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか

 

 

 これも『年収を上げる読書術』の推薦図書です。

 最近、やたらとページ数の多い翻訳モノばかりで、結構疲れます。

 この本も450ページ以上の大著なのですが、人間が「こういうときには、こういう行動をする」強い傾向がある、ということを集めたモノです。

 そういう傾向をマーケティング等に応用するということで、この本もそういう動きの「古典」とも言えるモノで、例えば人は何をかをしてもらったら、それに対する「お返し」をしたくなるという、返報性に関する傾向は聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。

 後は、権威にひれ伏しやすいとか、好意を持った人への反応など、顕著な反応を紹介されているのですが、驚くのがこの本で紹介されている多くの「法則」が、先日紹介した「詐欺」の手口として紹介されていたモノの多くと被っているということです。

 きっと詐欺の業界と言うのは、こういったことへの「応用」の先進的な事例なんでしょうね…ということで、この本を熟読して、そういう被害を受けるのを未然に防止しましょう!

 

ビジョナリー・ピープル/ジェリー・ポラス、スチュワート・エメリー、マーク・トンプソン

 

ビジョナリー・ピープル

ビジョナリー・ピープル

 

 

 『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』という成功している企業に共通している特徴を紹介する本が有名ですが、同じ著者が書かれた、成功し続ける人に共通する特徴を、200名以上もの著名人のインタビューを通してあぶりだした本です。

 その中で、長く成功し続けるための秘訣は、

  ・意義
  ・思考パターン
  ・行動パターン

という3つの要素で構成されるということで、その3つを大きな章立てとして紹介されています。

 よく言われることですが、やっぱりこの本を読んでて一番に印象に残ったというか、ちょっとしたショックを覚えるほど衝撃的だったのが、自分の仕事に「愛情」を持たなければ二流で終わるということで、例えば同じような能力を持っている人が同じような仕事をしたときに、「愛情」を持たない人が「愛情」を持って仕事をしている人に勝てる訳がない、とまでおっしゃっています。

 って言ってもなぁ…と思う人は、ワタクシを復縁手多いと思うのですが、どうしても「愛情」を持てなければ、それを「変える」努力をする、それでもダメなら「見方」を変えるようにする、ということです。

 ということで、「一流」になるために仕事を「愛せる」ようになりたいものです…

 

キャッチコピー力の基本/川上徹也

 

キャッチコピー力の基本 ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック

キャッチコピー力の基本 ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック

 

 

 ストーリーブランディングの川上さんが書かれた、キャッチコピーの「教科書」です。

 この本も、『年収を上げる読書術』の推薦図書なんですが、同じく推薦図書として挙げられていた『メール文章力の基本 大切だけど、だれも教えてくれない77のルール』とのシリーズ物になっているようです。

 冒頭に、手元に置いて辞書的に使ってもらえれば、と書かれているように、体系的キャッチコピーのあり方みたいなものを述べると言うカタチではなくて、自分が訴求したいことをキャッチコピーにする際にどういう工夫をすれば、効果的なものになるのかという様々なテクニックを紹介するというカタチになっています。

 例えば、川上さんがご自身の著書でよくおっしゃっておられる、聞き手に取って「分ごと」になるようなコピーにするといったことを始めとして、いろんな例が、使用前使用後みたいな対比もされているので、コピーを手掛けられる方は、是非手元に置いてかれれば、便利かと…

 

こだわりバカ/川上徹也

 

こだわりバカ (角川新書)

こだわりバカ (角川新書)

 

 

 ストーリーブランディングの川上さんがメジャー進出を果たした「バカ」3部作の完結編です。

 『物を売るバカ売れない時代の新しい商品の売り方 (ワンテーマ21)』『1行バカ売れ (角川新書)』に続いて出版されたこの本なんですが、あとがきで、この本を出したいがために、前の2冊を出版したようなものだ、といった趣旨のことをおっしゃっておられて、この本への意気込みをヒシヒシと感じます。

 内容としては、主に企業イメージを訴求する際のコピーライティングについて、ということです。

 冒頭で触れられているのが、飲食店などで「こだわり」に関するコピーをよく見ますが、そういう「こだわり」を謳う店の大半は、今一つ、じゃあ何にこだわってるの?というのがよくわからない、内容の希薄なコピーになっていることが多いと指摘されています。

 また、多くの企業が、企業全体のイメージなんかを訴求しようとするコピーにおいて、何をやっている企業なのかよくわからないコピーになっていることが多いともおっしゃいます。

 川上さんは、そういうコピーを「空気コピー」と酷評されます。

 なぜそうなるかと言うと、顧客と言う「海」に達するまでのコピーの「川の流れ」のうちの、商品そのものを訴求する「川下コピー」や事業展開を訴求する「川中コピー」と比べて、企業理念などの上位概念を訴求する「川上コピー」は売上などの業績への効果との関連が見えにくいこともあって、蔑ろにされがちだということなんですが、長い目で見ると、手痛いシッペ返しを食らうことになる、とおっしゃっています。

 だからこそ、自らの企業理念などについて、誰にでもその内容がイメージできるような簡潔な言葉で訴求することが、すべてのPR活動の起点になるということで、ココロして取り組むべきだということを強調されています。

 

 

テレビが伝えない憲法の話/木村草太

 

テレビが伝えない憲法の話 (PHP新書)

テレビが伝えない憲法の話 (PHP新書)

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんの新進気鋭の論客との対談を集めた『右肩下がりの君たちへ (ぴあ書籍)』に登場し、市井レベルで法律論を展開することができると称賛されていた、憲法学者の木村さんの著書を手に取ってみました。

 ワタクシ自身法学部出身で、公務員試験の受験もしたので、多少憲法の知識もあるつもりだったのですが、この本で紹介されているような、そもそもなぜ憲法なるものが必要とされるようになったのか、また憲法の「機能」はどんなものなのか?といった、そもそも論について、それこそ「市井レベル」で誰にでもわかりやすく語ったモノを見た記憶がありません。

 多少ムリヤリやわらかい表現をしようとしているのかな、と思えるところも無きにしも非ずなのですが、こういう「意義」の部分に始まって、近年論争を巻き起こしている、9条を始めとした改憲の論議などについても語られます。

 そういうところから話を聞くと、「改憲」の論点も明確になりやすくて、日本国民すべからく手に取ってみてほしい、と思う本です。