- 作者: 千田善
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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オシム元日本代表監督の通訳をされていた方の著書です。
ちなみに、この本はオシム氏の通訳をされる以前の著書です。
正直、この本、そんなに期待せずに手にとったのですが、非常に
世界史とサッカー史のダイナミズムがシンクロしていて、興奮させ
られました。
オリンピックだと、結構政治に翻弄される姿が、日本でも意識さ
れているんだと思うのですが、サッカーもまた同じであることを
認識している日本人って意外と少ないのかもしれません。(私も
あまり認識していませんでした。)
でも、1934年イタリア大会や1978年アルゼンチン大会における、
時の為政者による露骨なプロパガンダや、近年では、旧ユーゴ
スラビアの悲惨な境遇を思い起こせば、やはり激しく政治の波に
翻弄されてきたことが痛いほど感じされられます。
そして、今や過度の商業主義に毒されつつあるW杯の将来のつ
いて憂慮されています。
この本は、ドイツ大会以前に書かれた本なのですが、カタール
大会が決まった経緯について、著者はどのように感じられたのか
興味が湧きます。
あと、著者は日韓大会のその後の意義というものを非常に高く
評価されていて、今の韓流ブームというものは、日韓大会がなけ
ればありえなかっただろう、と言われていますが、納得です。
サッカーの深みをより感じられる好著だと思います。