不動心/松井秀喜

不動心 (新潮新書)

不動心 (新潮新書)

 先頃、現役を引退し、国民栄誉賞を受賞した松井秀喜さんが、ヤンキ
ース在籍時、キャリアのターニングポイントになった、左手首の骨折後
に書かれた本です。

 個人的には、淡々と野球に取り組んでこられた印象のある松井さんで
すが、内心は、批判に対して不服があったりとか、不振の時に落ち込ん
だりとか、そういう感情の起伏があったはずだし、この本の中でも、そう
いう心境を認めている部分もあるのですが、表面上は平然と取り組んで
いるように見せているところがスゴいなあ、と思っていたのですが、この
本の中で、直接の言及はないのですが、感情の起伏の波を少なくして、
それをプレー上のパフォーマンスに反映させる、いろいろな工夫をされて
いるなあ、ということを感じさせられます。

 ヤンキースを離れて以降、決して恵まれたキャリアとならなかった頃
に、歯がゆさを覚えたのは確かなのですが、そういう不遇な時も、ブレ
なかった、ということについて、改めてスゴいことなんだなあ、と思わ
されます。

 ナベツネもこういう人格者としての側面を見た上で、指導者として
迎え入れたいと思っているんですかねえ…(それとも…)