サッカースカウトマン/平野勝哉

サッカースカウトマン

サッカースカウトマン

 元々、住友金属の「一般」のサラリーマンだったにも関わらず、
アントラーズに出向してから、小笠原、中田浩二、本山、曽ヶ端、
岩政、そして内田と言った、日本代表の主力にまで成長した面々
アントラーズにスカウトした方の本です。

 スカウトとして、サッカー選手を見るべきポイントとして、
アヤックスで用いられていた、「TIPS:(T:テクニック、
I:インテリジェンス、P:パーソナリティ、S:スピード)」
に平野さんが、H:高さ(Height)を加えた基準を紹介されて
います。

 ちょっと意外だったのが、ヨーロッパのサッカーやプロ野球
なんかと比較すると、Jリーグのスカウティングは、他のチーム
のスカウトとの「ヨコ」のつながりも強いらしく、自分のチーム
が求めていないポジションに有望な選手を見つけたら、そのポジ
ションの選手を探している他チームのスカウトに紹介したりする
こともあるそうです。

 そういう状況は、あんまりスカウティングに「おカネ」が影響
する部分が、ヨーロッパサッカーやプロ野球に比べると少ないか
らなんじゃないか、と平野さんはおっしゃっています。

 ヨーロッパサッカーやプロ野球のスカウトみたいな、魑魅魍魎
の世界を伺うといった面白さはないですが、純粋にサッカー観を
ベースにしたスカウティングは、ちょっと清々しい気がしました。