「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト/酒井譲

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)

 主に、企業において人材育成をされる方をターゲットとして書かれた本で、
「テキスト」とある通り、ロジカルに人材育成のテクニカルな内容が取り上げ
られています。

 「何のために」「誰を」「誰が」「いつ」「どのように」育成して、その成果
をどう「評価」するか、と言ったかたちで、人材育成のPDCAのプロセスをキッチ
リと網羅的に紹介されています。

 まあ、どの企業でも当てはまるような内容になっているので、「どのように」
育てるのか、というのは「何のために」に依存するので、ここ具体的に示されて
いるわけではないのですが、「何のために」ということが明確になっていれば、
それ以降の要素への具体的な落とし込みをするためのヒントが書かれているので、
非常に有用なガイドラインになると思います。

 しかも、経営理念が「生きた」ものになっているか、育成プロセス自体が経営
理念と整合性が取れているかどうか、育成プロセスが社員のキャリアパスを実現
できるようなものになっているか、など育成プロセス自体の妥当性を確認するため
の観点もしっかりと紹介されています。

 「ロジカル」で「テクニカル」な書きっぷりなんで、一見面白みに欠ける部分
もあるのですが、ちゃんとエモーショナルな側面も考慮に入れられているので、
読み物としてもある程度の刺激を伴いながら読み切れますし、何よりも実際の
人材育成のプログラムを作成する上で、かなり使えるんじゃないかな、と思い
ます。