母にできること、父にしかできないこと。/藤原和博

母にできること、父にしかできないこと。 (新潮OH!文庫)

母にできること、父にしかできないこと。 (新潮OH!文庫)

 『処生術―生きるチカラが深まる本』の続編というか、実践編とも言うべき本で、元々、
『父生術』というタイトルの本で、藤原さんがヨーロッパに赴任した際に、当時、
幼稚園児だった長男が現地の生活に馴染むまでの葛藤を描いています。

 ついつい、我々は自分の子供に、「早く」「ちゃんと」「いい子」でいることを強いて
しまいがちですが、藤原さんご自身も、特にそういう傾向が強かったらしいのですが、
現地に馴染むまでの課程で、そういったことが如何に子供を苦しめているか、ということ
を目の当たりにして、藤原さんご自身も葛藤された様子を書かれています。

 早く現地での生活に馴染んでもらおうと、簡単な英語を教えようとするのですが、
実際のコミュニケーションに役に立ったのは、言葉ではなくて、長男自身が、レゴで
作った飛行機だったということが、子供の世界でもなんからの形で自分のプレゼンスを
示すことが大事だということで、『処生術』と同じ思想が流れているなあ、と感じました。