ミステリー作家の方が書かれた英語学習本です。
さすがに出版界というか、編集者の機微をわかっておられる方らしい、ニッチなところを突いた本だなぁ…という印象です。
というのも、世に「アナタも、いともカンタンに英語が身につく」みたいなタイトルの本が山ほど出版されていますが、それは何故かというと、とりあえず英語を身に付けたいけどなかなか身につかない、という大多数の人に手に取ってもらいたい、という趣旨から、そういう扇動的なタイトルをつけるということで、実際、そのうちの大多数の本は、決してウソを言っているわけではないのですが、カンタンな側面は無きにしも非ずなのですが、その本の紹介するメソッドで英語を身に付けること自体は決して「カンタン」ではない…編集者と著者の妥協の産物が、やたらラクそうに思えるタイトルで、よくよく読んでみると、中身は決してそうではない…というのが、多くの英語本の実情のようです。
で、この本はそういうダマされ続けた読者(既にそういう読者たちが少なからずいるということですが…)たちが、ある程度の「努力」は必要だということが分かって、その「努力」を結果に効率よく結びつけるためには…という趣旨のようで、よくぞここまで編集者をナットクさせたなぁ…というのが、英語本出版経験のあるワタクシの素直な感想だったりします。
で、どっちかと言うと体系的な学習法というよりも、英語学習の4側面である、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング+語彙・文法のそれぞれを学習するにおける「姿勢」というか「方針」みたいなものを中心に書かれています。
確かに、ちょっと目からウロコな部分も、特に学校英語やTOEICを中心に学習されてきた方にとっては、あるかと思うのですが、まあ、話せるようになった人からみれば、実にオーソドックスな内容で、やっぱり「努力をした分」しか成果は出ない、ということで、「魔法のように」とはありますが、それが決して「ラク」という意味ではないということは、キモに銘じた上で取り組むべきかと…